トヨタ自動車と千代田化工。大規模水電解システムの共同開発で協業締結。トヨタの燃料電池技術と千代化工のプラント建造技術の融合で国際水準のパッケージ型装置開発へ(RIEF)
2024-02-06 00:27:47
(写真は、トヨタ製の高集積化された水電解装置)
トヨタ自動車と千代田化工は5日、大規模な水電解システムの共同開発および戦略的パートナーシップを構築すると発表した。政府が策定した水素基本戦略に盛り込まれた水電解装置導入目標の達成に貢献する、としている。水素生産ではトヨタの水素エネルギーで走行する燃料電池車(FCV)等の水素開発技術と、千田化工のプロセスプラント設計技術・大規模プラントの建造技術を融合し、パッケージ方式で組み合わせ可能な水電解装置の生産と量産化技術を推進するとしている。
両者が開発するのは、国際競争力を有する大規模水素電解システムを想定している。ただ、同規模のシステムとしては、「世界最小レベルのサイズで最高の水素製造効率」を目指すとしている。
水素製造は、水を電気分解して水素を生み出す。開発するのはその水素電解装置を軸とするシステムだ。出力は約5MWで、1時間当たり約100kgの水素製造能力を備えたものとする。設置面積は幅6m、奥行き2.5mを目指す。現行の一般的な電解設備に比べると約半分の大きさとなる。
開発した装置を標準パッケージとして、需要に応じてパッケージを複数、連結させることで、大規模な水電解機能を提供できることを目指す。パッケージ化することで、輸送性や現地工事期間の短縮、土木・建築工事のコストダウン効果などが図れるとしている。
「サイズは小規模で、水素製造能力は大規模に」という供給サイドのニーズを実現するうえで、トヨタが開発するFCVの「MIRAI(ミライ)」のFCシステム部品を活用するほか、トヨタの水電解セル・スタックの生産・量産技術と、千代田化工が得意とするプラントエンジニアリング技術のノウハウを融合して、最適化することでコストダウンと生産効率アップを同時実現できるとしている。
今回のパートナーシップ締結を踏まえ、2025年度からトヨタ本社工場の水素パーク内に開発した水電解システムを導入し、実証化を進める。将来的には水素製造能力を倍の10MW級まで拡大し、開発のメドを得るとしている。水素は次世代エネルギーの本命の一つとして、国際的に開発競争が進んでいる。
政府は水素製造の水解装置導入量目標として、2030年の世界導入量予測134GWに対して、日本関連企業(部材メーカーを含む)のシェアを約1割(15GW程度)に引き上げるとしている。