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ストロンチウム 本当に影響ない? 監視・実測の継続必要(東京新聞)

2012-07-27 16:06:06

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福島第一原発から出たとみられる放射性のストロンチウム90の降下量が、関東と東北の十都県分について、ようやく報告された。一九六〇年代に大気圏内の核実験で降った量に比べて少なく、専門家らは健康影響はまずないとみるが、ストロンチウムは測定が難しく、セシウムほどのデータがない。本当に少ないことを示すため今後の監視が必要だ。


 文部科学省によると、二〇一〇年四月~一一年十二月の観測で、一カ月間のストロンチウム90降下量の最大値は、茨城県の一平方メートル当たり六・〇ベクレルだった。事故が起きた昨年三月の数値だ。




 一方、一九四〇~六〇年代前半には、大気圏での核実験が行われ、放射性物質が降った。ピーク時の六三年にはストロンチウム90も国内で最大一平方メートル当たり月間三五八ベクレル(仙台市)を記録している。




 それに比べ今回の値は六十分の一程度。広瀬勝己・上智大客員教授は「健康などへの影響はないだろう」とみる。ただし「もっと早く測れば事故特有のストロンチウム89が見つかり、福島第一原発から出たとはっきり言えたはず」という。




 ストロンチウム90の測定は複雑で時間がかかる。このため食品検査ではセシウム137を測り、ストロンチウム90やプルトニウムは自動的にセシウム137の12%が含まれると仮定している。甲斐倫明・大分県立看護科学大教授は「実際に含まれている量は、基準の12%より低いレベルだと思うが、言うだけでなく実測して示していくべきだ」と指摘する。




 厚生労働省では「具体的な計画はまだ。二、三年かけて検証する予定」という。




 福島と宮城両県は地震や原発事故の影響で測定していないという。