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福島の男性 厳しい婚活 県外お見合い ほぼ門前払い(東京新聞)

2012-07-30 00:00:32

お見合い相手を紹介する会員用ホームページ。震災後、福島県に住む男性への断りの返事が目立つようになった
お見合い相手を紹介する会員用ホームページ。震災後、福島県に住む男性への断りの返事が目立つようになった


東京電力福島第一原発の事故以降、福島県内の男性が結婚相談所を通じて県外の女性に見合いを申し込んでも断られるケースが大幅に増えている。「住所を理由に、門前払いに近い状況」といい、原発事故の影響が「婚活」にまで影を落としている。 (坪井千隼)

福島市内で結婚相談所「スプリング」を経営している丹治逸雄さん(68)は「他県の女性が福島県に嫁ぐのに、放射能のことを考え、不安を感じているのだろう。でも、会ってさえもらえないとは」と嘆く。

相談所では毎月五十件前後、県内の男性会員から県外女性にお見合いを申し込んでいる。会員用ホームページで住所や職業、年収、本人の写真などの条件が合えば、対面する流れだ。原発事故の前は三件に一件ほどは女性の了承を得ていたが、「今は十回に一回OKなら、いい方だ」。

県内の女性会員に関しては、男性会員に比べて少ないこともあり、県外からの見合い申し込みはそれほど減っていないという。

丹治さんは月一回、東北各地の相談所経営者が集まる仙台市の会合に参加していた。会員用のホームページと並行しながら情報を交換し条件が合う男女を探してきたが、福島県内の男性と見合いをする女性がほとんどいないため、参加をやめた。今年一月には「風評被害で相談所の売り上げが減った」として、東京電力に補償を申請し損失の七割ほどが認められた。

福島県内では他の地域でも同じ状況。会津若松市の結婚相談所の男性経営者(44)は「とにかくすべて断られる。こんなにひどいとは」と憤る。相談所は昨年十月にオープン。男性会員が県内女性に申し込んだケースでは一~二割はOKだったが、県外女性とは一度も成立していない。

相談所では「会津地方の放射線量は関東と変わらないレベル」と積極的に説明しているものの、効果はなく断られ続けている。

四十代の自営業の男性は、県外女性に百回以上申し込み、すべて断られた。一時期はショックで落ち込んでいたが、六月に福島市であったお見合いパーティーで同じ福島県内の女性と知り合い、交際を始めている。

独身で福島市内で保育園を経営する長沢明雄さん(30)は「将来の結婚や恋愛でさえも不利になるのでしょうか。福島の人間だからといって差別されるのはたまらない。他県の人はいたずらに不安がらず、冷静に考えてほしい」と語った。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012072902000086.html