河野太郎デジタル相。「脱原発」論を放棄。東海第二原発等視察後に「電力需要の急増に対応するため、原発再稼働含め、様々な技術活用が必要」と発言。総裁選にらみとの報道(各紙)
2024-08-01 02:15:26
(写真は、原発視察で説明を受ける河野氏=同氏のXより転載)
各紙の報道によると、河野太郎デジタル相は31日、茨城県で東海第2原子力発電所(東海村)や高速実験炉「常陽」(大洗町)を視察後、記者団に対して「電力需要の急増に対応するために原発の再稼働を含めて、様々な技術を活用する必要がある」と述べた。同氏は「脱原発」論者とされてきたが、「原発再稼働、再エネから核融合に至るまで、色々な幅の中で何ができるようになるかを検討する必要性がある」との見解を示し、自民党総裁選を前に「脱原発」色を修正した、と指摘されている。
日本経済新聞が報じた。同氏は会見で、「生成AI(人工知能)が急速に発展し、データセンターのニーズが増えている」「電気自動車(EV)の急速な普及」などと指摘。「再生可能エネルギーをこれまでの10年間の2倍のペースで入れられたとしても2050年のカーボンニュートラルに間に合わない」と話し、原発稼働を重視する姿勢を強調したという。
同氏はX(旧ツィッター)でも「データセンターの増加や生成AIの進展などにより、日本の電力需要が、これまでの減少傾向から増加に転ずるという予測の中で、東海第二原発、JAEAの高速炉「常陽」、高温ガス炉、量子科学技術研究開発機構(QST)のJT-60SAを視察しました」と画像付きでつぶやき、日本の電力需要が増加に転ずることへの関心を示した。
那珂市のQSTでは那珂フュージョン科学技術研究所も視察。核融合エネルギーの早期実現のために日本と欧州が共同で実施するプロジェクトの進捗を確認した。同氏は「世界に打って出ていける技術開発は温暖化対策という意味でも、日本経済の未来にとっても大事なことだ」と述べたとしている。
河野氏は東京電力福島第一原発事故後に、脱原発を訴え、超党派国会議員で阻止する「原発ゼロの会」の共同代表も務めるなど、自民党の方針と一線を画した脱原発論者とみなされてきた。この点について、報道した日経の記事は、「自民党総裁選を前に『脱原発』色を修正した」と指摘した。
同氏は福島事故当時の明確な「脱原発」論から、その後、徐々に修正し、2021年の前回総裁選に出馬した際は、将来の脱原発を目指しつつ「安全性が確認できた原発は再稼働するのが現実的」との姿勢を示した。しかし明確に脱原発を否定しなかったことから、いまも原発推進派が多数を占める自民党では、同氏の政策への賛同を得られなかったという経緯がある。
今回の「原発容認」への弾力的な発言は、総裁選を意識した面もあると指摘している。同氏は「再エネ、それから原発というゼロエミッションの電源で必要な電力需要をまかなうのは日本だけじゃなく、各国がやらなければいけないことだと思う」とし、原発をゼロエミ電源として受け入れる考えを示した。
河野氏は9月に岸田文雄首相の自民党総裁任期となることから、「ポスト岸田」候補のひとりとして名前が挙がっている。ただ、世論調査等では、石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境相に比べて、支持率は低い状況にあるとされる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA305AX0Q4A730C2000000/?type=my#AAAUAgAAMA