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青森の2原発、電源が同一変電所/冷却確保へ多重化急務(四国新聞)

2011-05-04 22:52:58

青森県内で建設中の東京電力東通原発と電源開発大間原発は、外部と電気をやりとりする変電所が同一で、この変電所が地震などで全面停止した場合、原子炉が同時に自動停止する仕組みになっていることが4日、分かった。
 東日本大震災では、東電福島第1原発で外部電源が途絶え、非常用発電機も津波の影響で停止、原子炉の冷却機能が失われた。経済産業省原子力安全・保安院は地震後、外部から送電が停止し非常用発電機が故障した場合の対策を求め、各地の原発で電源多重化などが進んでいる。

両原発も非常用発電機を備えるが、さらなる電源確保に向け計画見直しの可能性もありそうだ。保安院は「原発は、外部電源が喪失しても非常用発電機で対応するのが基本。東通と大間の設計は現時点では問題ない」としている。東電東通1号機は2017年、大間原発は14年に運転開始予定。

 保安院や東電によると、東電東通原発は東北電力の上北変電所と500キロボルト2回線と66キロボルト1回線の計3回線、大間原発は同変電所と2回線の送電線を結ぶ予定。この変電所は運転段階の東北電力東通原発ともつながっており、同系統の送電線に3原発がつながる異例の計画となっている。

 日本原燃によると、使用済み核燃料再処理工場も上北変電所からの送電を受けている。上北変電所が停止した場合、東京電力東通原発と大間原発は発電した電気を送電できなくなり原子炉が自動停止、上北変電所から電気は来なくなる。東北電力東通原発は発電しない状態で運転を継続する設計という。

 上北変電所のような大規模な変電所が全面停止する事態は考えにくいとされ、国の指針も、長期間の電源喪失は「送電線の復旧または非常用交流電源設備の復旧が期待できるので考慮する必要はない」としている。

 福井県の敦賀半島も日本原子力発電敦賀原発、関西電力美浜原発、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅなどが集中しているが、関西電力と北陸電力の両方から送電するなど多重化が進んでいる。

 4月7日に起きた東日本大震災の余震でも、東北電力東通原発で外部電源が途絶、非常用発電機1台が起動したが、外部電源復旧後にその1台が故障した。