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中国・大連 活断層に立地 紅沿河原発1号機が稼働 安全性確保への不安(加藤敏春ブログ) 

2013-03-08 09:43:31

中国の原発(写真は、他地域で建設が進む原発)
中国の原発(写真は、他地域で建設が進む原発)
中国の原発(写真は、他地域で建設が進む原発)


中国では、遼寧省大連市郊外にある紅沿河原子力発電所1号機が2月17日、発電を開始しました。中国東北部初の原発で、今後本格稼働の段階に入ります。遼寧省を中心とする東北3省の電力事情の改善や省エネ、二酸化炭素(CO2)などの排出量削減に寄与すると期待されていますが、立地場所近くの渤海湾に断層があるなど、市民の不安は解消されない中での稼働開始となりました。

 

私は、2年間にわたり中国の原子力安全規制当局と意見交換等をしたり、中国の原発を視察したことがありますが、十分な検査・審査人員の確保等に不安があるというのが総括です。現在PM2.5の被害が九州でも見られるようになっていますが、中国での原発事故の影響は日本にも及ぶ可能性があります。

 

2007年8月に着工された紅沿河原発は、世界最大の水力発電ダムである三峡ダムや北京~上海間高速鉄道(京滬高速鉄道)などと並ぶ重要インフラプロジェクトとして位置付けられ、その建設に注目が集まっていました。108万キロワット(kW)の原子炉を計6基建設する計画で、第1期プロジェクトである1~4号機の建設は、2015年までに終了し、電力供給を開始する予定となっています。第1期の年間発電量は300億キロワット時(kWh)と、2012年の大連市の電力使用量を上回り、また遼寧省全体の電力使用量の16%を占める水準となります。

 

同原発の稼働は省内の電力供給の合理化や安定化につながるだけでなく、省エネやCO2などの排出量の削減にも寄与するとしています。第1期プロジェクトでは、同規模の火力発電所に比べ石炭消費量が年間1,000万トン削減でき、CO2、二酸化硫黄、窒素化合物の排出量がそれぞれ2,400万トン、23万トン、15万トン削減できるとしています。

 

一方、東日本大震災以降、沿海部に立地する同原発の安全性を危惧する声が上がっています。大連市政府によると、大連市内には8つの断層があり、そのうちの1つは大連を含む遼東半島が位置する渤海湾下にあるとされています。

中国では、2011年12月現在、15基の原子炉が稼働中、26基が建設中となっており、福島の原発事故を受け一時ストップしていた原発工事も、2012年10月から再スタートしています。紅沿河原発以外にも、山東省の海陽原発プロジェクトなどが動き始めており、安全性の確保について注目が集まっています。