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東北の発展に向け熱く議論 東北再生委員会が初会合(河北新報)

2011-06-22 12:17:51

東日本大震災からの復興と新たな東北の発展に向けたビジョンを示すため、河北新報社が設置した東北再生委員会(委員長・一力雅彦社長)の第1回会合が21日、仙台市青葉区の同社1階ホールで開かれ、安全安心な街づくりや新しい産業創生などをめぐって活発に議論が交わされた。

 元総務相の増田寛也委員は「東北は震災前から人口減や経済衰退が著しかったが、集約化や効率化を復興の前提として決めつけるべきではない」と指摘。「水産と観光、土地利用の問題が重要になる」と述べた。
 東北公益文科大学長の黒田昌裕委員は「科学者と技術者、社会の間の縦割り構造が、被災地の迅速な復旧の妨げになっている可能性がある」と語り、東北6県が一体となった技術連携やイノベーションを呼び掛けた。
 元日銀副総裁の藤原作弥委員は、東北が戊辰戦争や第2次世界大戦の敗戦から立ち直った歴史に触れ「東北という切り口や視点から、報道機関が地域の実情を提言として結実させる試みは意義が大きい」と期待した。
 東北大名誉教授の首藤伸夫委員は「10年、20年と経過すると、どれだけ大きな災害でも住民は忘れてしまう。震災経験を次の世代につなぎ、同じ悲劇を繰り返したくない」と強調、防災教育の重要性を説いた。
 建築家の伊東豊雄委員は、都市計画や高所移転に必要な視点として「安全安心を第一に考えるあまり、地域住民の意見に耳を傾けずに線引きをしてしまうと、唯一無二の美しい東北の風景が損なわれる」と話した。
 元経済産業審議官の今野秀洋氏は水産業など中小・零細中心の地場産業の現状を踏まえ「従来の制度や慣行にとらわれず、国内外の資本や技術を積極的に取り込み、活用する発想が復興には必要だ」と示唆した。
 委員会は、震災3カ月後の11日に設置された。いずれも東北にゆかりのある委員7人と専門委員11人で構成。被災地の復興から東北全体の振興まで視野に入れた多角的な議論を進め、今年12月をめどにビジョンを取りまとめる。