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電力10社決算、赤字1・6兆円 原発停止で燃料費7兆円突破 高コスト産業に転化(各紙) 原発のない沖縄電力と、少ない北陸電力だけ黒字

2013-04-30 22:15:43

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soudensendc07240111電力10社の2013年3月期連結決算が30日出そろった。沖縄、北陸を除く8社が赤字を計上、赤字総額は前期とほぼ同規模の約1・6兆円に上った。特に、北海道、関西、四国、九州の4社は過去最悪の赤字規模となった。原発停止の長期化と円安進行で、火力発電の燃料費は10社合計で前期より約1兆1千億円増えて7兆円を突破、高コスト体質が明確になった形だ。

総発電に占める原発比率(原発依存率=2010年度)は北海道、関西がともに44%、四国43%、九州39%などとなっている。北陸電力も依存率は高いが、石炭火力、水力のウエイトが比較的大きいので、天然ガス価格上昇の影響を受けている他の電力より収益の落ち込みは少なかった模様。沖縄電力は原発を持っていない。

 

自民党政権は7月の参院選挙後に、原発再稼働を推進する方向だが、仮に一部原発稼働が進んでも、地震・災害対策を強化するコスト増に加え、火力発電所の燃料費の増額等で、電力会社の収益構造は極めて厳しい状況が続きそうだ。

このため、収支改善のため北海道など6社は料金値上げを実施・申請した。しかし、電力料金の値上げ路線が続くと、家計や企業の負担が増し、消費や雇用にも重しとなる。安倍政権が目指す内需主導の成長路線の足を引っ張りかねない。電力産業の構造改革を促す小売電力完全自由化や発送電分離などによる新規参入企業を促進して競争による価格下落と、サービスの多様化を推進できるかどうかが、課題となってきた。