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ドイツの原発施設周辺で 白血病の子どもの発症 異常増加 (Kaze to Hikari) 日本ではデータすらない

2013-05-06 23:21:00

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GermanyWewelsfleth02ドイツの原発と原子力研究所の周辺で、19件の小児白血病が報告されています。この驚くべき異常な数値に、関係者は因果関係を認めようとしません。日本で、そして福島では、大丈夫でしょうか。


ハンブルクの東、エルベ川流域にクリュンメル原子力発電所とGKSS原子力研究所があります。この周辺の、人口約1万2000人の地区では、1990年以来19件の小児白血病が報告されました。核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の分析によると、一般的にこの規模の範囲での発症率は統計的に58年間に1人。ところが、この地区のテスペ村は5年間で6人が発病し、ほぼ70倍という異常な数値なのです。


状況証拠は、はっきりと原子力研究所の事故との因果関係を示唆しています。1986年9月12日、研究所に火災が発生し「現実とは思えない黄、青、緑」の光の柱を見たと証言する複数の目撃者がいます。しかし、関係者はこれを否定し、地元消防署の出動記録は1991年の火災で消滅し、同施設の火災は証明できません。


後の調査で、付近に黒い球状の放射性物質が見つかりました。これは核のさまざまな用途に使える物質であることが分っています。例えば、原子爆弾も作れます。ドイツは『核拡散防止条約』に非核兵器国として加盟しており、このような物質がこの原子力研究所から出るということは、立場上絶対にあってはならないことです。この物質の調査は、ドイツ国内のあらゆる研究所が拒み、結局、ベラルーシで行なわれたのです。


テスペ村に住むニコル・Jさんは、1991年、乳児期に白血病を発病しました。すでに成人した彼女は、涙ながらに病気への不安を訴えます。ドイツにはエルベ川流域以外にも、58の小児白血病の集積発生地区が点在すると言われますが、その原因・所在は明らかにされていません。


福島と周辺の子どもたちが、大丈夫だと私には思えません。



事故後の『黒い球状の物質』の正体を追及する


2004年11月、ニーダーザクセン州とシュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州は公式調査をおこない、この地域に白血病が多いことと、原子力発電所・原子力研究所の因果関係はないと公式発表しています。


   同年12月、これに大きな疑問をもった、エルベ川流域反白血病市民団体は、周辺で発見された『黒い球状の物質』の分析を核戦争防止国際医師会議に独自に依頼します。ところが2日後、「この物質を関わるわけにはいかない」という理由で、分析は断られてしまいました。分析を拒否する理由を聞くと「もし、この物質を取り扱えば、連邦刑事局(アメリカのFBIのような機関)に報告し、分析は連邦刑事局が依頼した機関がすることになっている」という回答が返ってきました。その後も、国内外合わせて17の研究所に分析依頼を出しますが、どこも引き受けてはくれませんでした。


   そこで、土壌サンプルの採取場所を伏せたまま、ベラルーシのミンスク・ハサロフ国際環境大学のヴラティスラヴ・ミロノフ教授が分析を引き受けることとなりました。ミロノフ教授は、この物質が明らかに人工的に作られたものであり、チェルノブイリ事故由来でも、かつての核実験由来でもない、別の理由で外界へ出てきたものであることを証明しました。


  ミンスクの分析結果を、今度はドイツの研究者たちに、土壌サンプルの採取場所を知らせぬまま見せて意見を聞くと「このような放射性物質は、原子炉か再処理工場のようなところにしか存在しない。こんなにも高濃度なトリウムやプルトニウムがドイツ国内で検出されるとは驚きである。」と述べたそうです。原子爆弾でもつくれるのです。この研究者たちに、エルベ川流域で採取されたサンプルであることを明かすと、すべての研究者が、匿名を希望したそうです。


  原発と白血病の因果関係(ドイツのテレビ番組)1/3 http://www.youtube.com/watch?v=K3VFzSLFpwg


原発と白血病の因果関係(ドイツのテレビ番組)2/3 http://www.youtube.com/watch?v=yWcOrnLCRMc


原発と白血病の因果関係(ドイツのテレビ番組)3/3 http://www.youtube.com/watch?v=ttUfQ-426R8



公的機関の信憑性、そして、これを否定する恐ろしい独自の報告結


ドイツ小児癌登録機関は、全ドイツ(1991年から旧東ドイツも含める)における15歳未満(2009年から18歳未満)の癌患者の記録をとり、1980年から2010年までに、4万8千397名が登録され、その研究報告は国内外から高く評価されています。ところが、1997年、この機関から提出された研究で、小児癌と原子力発電所・核施設との因果関係は確認できず、発症率も立地地区と他の地域で大差ないと報告されました。


  これを疑問に感じたミュンヘンの物理学者アルフレード・ケルプライン博士は、過去の情報提供をもとめ、再分析しました。その結果、その分析の計算の仕方に大きなミスがあることを見つけたのです。そして、原発から0~5キロ地点に住む15歳未満の小児癌の発症率22%、沸騰水型原子炉の場合だと40%、原発0~5キロ地点の5歳未満の子供の発症率54%、沸騰水型原子炉の場合70%となり、0~5キロ地点の5歳未満の子供の白血病に限って分析すると、通常の76%を上回る発症率であるという恐ろしい結果が報告されたのです。


  今回、ドイツ国内に点在する他の白血病の集積発生地区の情報も探しましたが、どこにあるのか、調べても、調べても、情報は得られませんでした。ドイツ国営放送NDRのジャーナリストが同じように、ドイツ小児癌登録機関に何度も問い合わせ、直接インタヴューにも赴いていました。ところが、ドイツ小児癌登録機関は一切情報を提供せず、インタヴューも途中で打ち切りとなったようです。


  こうした中、私が一件だけ見つけることができたケースが、同じエルベ川の河口付近にあるヴェーヴェレスフレートという村の研究発表でした。ヴェーヴェレスフレートはブロークドルフ原発の東(風下)へ5キロほどのところにある村です。2009年11月、リューベック大学癌疫学研究センターの発表で、1998年から2007年までに報告された癌患者の数が、統計から割り出した予想の52%を上回ることが報告されていました。ヴェーヴェレスフレートに住むインゴ・カーステンゼンさんは、彼の家から見えるご近所全ての家に、癌患者がでたと話します。「始めの頃、患者たちは、なぜ私が?と思ったものだが、今では、なぜ私たち(この村ばかり)が?となってきた」と語っています。


  ドイツ政府は、確かに脱原発を決意しました。北ドイツでは、すでにシュターデと、ブリュンスビュッテル原発が即刻停止しています。しかし、未だに9つの原子力発電所が稼動しており、子どもたちの健康は、脅かされ続けているのです。


  物理学者アルフレード・ケルプライン博士の報告 http://www.alfred-koerblein.de/cancer/deutsch/imsd1997.htm http://www.alfred-koerblein.de/cancer/downloads/MGS1999.pdf


ブロークドルフ在住カーステン・ヒンリヒゼンさんのブログより http://www.brokdorf-akut.de/haeufungen.html


ドイツ・シュピーゲル誌より http://www.spiegel.de/spiegel/print/d-83865236.html


2009年11月リューベック大学癌疫学研究センターの報告 http://www.krebsregister-sh.de/berichte/Bericht%20Wewelsfleth.pdf



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