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米電力会社が “欠陥原発” の原因機材を製造した三菱重工に 138億円超の賠償請求 契約上の責任額を超過 (各紙)

2013-07-19 14:52:02

廃炉が決まった米サンオノフレ原発


廃炉が決まった米サンオノフレ原発
廃炉が決まった米サンオノフレ原発


各紙の報道によると、米国カリフォルニア州南部のサンオノフレ原発の“事故廃炉“問題で、同原発を所有するサザン・カリフォルニア・エジソン社は、事故原因となった蒸気発生器を設計・製造した三菱重工業に対して、契約上に規定する損害額の上限(1億3700万ドル=138億円)を上回る請求をすることを明らかにし、すでに三菱重工に請求資料を送付したと発表した。

 同社と三菱重工の契約では、責任額は契約によって上限額が定められている。しかし、エジソン社は2009年の納入に際して、三菱重工側が20年間の稼働を保証したにもかかわらず、昨年1月に放射性物質を含む水漏れを起こし、また納入前にも溶接部のひび割れなどが見つかり、一部を修理した経緯もある。さらに同年2月には、細管に異常な摩耗が多数見つかり、地域住民からも不安を指摘する声があがっていた。

これらの経緯から、エジソン社では、「欠陥があまりにも基本的かつ広範な場合、責任上限は無効」と主張している。また、三菱重工は、契約上義務づけられた修理や調査も怠ったとして、エジソン社や利用者が被った損害の全額を、「三菱重工が責任を取るべき」としている。1億3700万㌦の上限を上回る損害額の全体を請求されると、三菱重工の経営にも大きな打撃となる。

エジソン社は同原発の再稼働を目指していたが、米原子力規制委員会(NRC)はすべての稼働を禁止。このためエジソン社は再稼働の許可を得られず、今年6月に廃炉処分することを決めた。

 エジソン社の主張に対して三菱重工側は、「エジソン社の主張や要求は、交渉の経緯、契約履行の事実を正確に反映していない不適切な内容で、根拠のないものだ」とのコメントを発表した。

 両社の主張の隔たりは大きく、今後の訴訟で争うことになるのは必至な情勢だ。

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