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東電 福島の避難区域の再エネ電力全量買い取り表明(福島民報) 福島だけでなく全量買い取りがFIT制度の趣旨。目先で誤魔化さないで。

2015-01-10 18:09:39

宮沢経産相との会談後、報道陣の取材に答える広瀬社長(左)、海輪社長
宮沢経産相との会談後、報道陣の取材に答える広瀬社長(左)、海輪社長
宮沢経産相との会談後、報道陣の取材に答える広瀬社長(左)、海輪社長


電力会社による再生可能エネルギー買い取り中断問題で、東京電力は富岡町の新福島変電所を改修し、福島第一原発事故の避難区域で発電される全量を受け入れる。

約1年半後から段階的に開始する見通し。一方、東北電力は大規模蓄電池を導入するなどして、避難区域の事業者と優先して接続する。被災地への再生エネ発電事業の集積を加速させ、復興につなげる。両社社長が9日、宮沢洋一経済産業相と会談し方針を伝えた。

 

経産省によると、避難区域が設定された12市町村で計画されている太陽光などの発電量は現時点で20万キロワット規模とみられる。これに対し、東電は最大で60万キロワットを受け入れられるよう新福島変電所を改修・増築する。事業費として30億~40億円を想定し、自己資金を充てる。

 

10万キロワットの新たな受け入れには変電所の改修・増築期間として約1年半、最大60万キロワットで約4年以上が必要となる。具体的な工事スケジュールは、再生エネ事業者の動向を見ながら検討するもようだ。

 

東北電は、一度同社と契約を結びながら発電を始めていない再生エネ事業者との接続枠を解除する。さらに、国の支援を受けて5万キロワット規模の大規模蓄電池を導入する。再生エネの発電量が電力需要を大きく上回った際、余った電力を蓄えられるようにして受け入れ能力を伸ばす。避難区域のうち、東電の富岡町にある新福島変電所に電気を送った場合、送電線整備のコストがかさむとみられる南相馬市などの再生エネ事業者と優先的に契約する。

 

東北電は昨年、送電設備の能力不足を理由に、再生エネの受け入れを中断した。経産省は福島の復興に遅れが生じるとして、東電と東北電に対策を要請していた。

 

経産省で行われた会談で東電の広瀬直己社長は「東電には福島で事故を起こした責任がある。福島の復興に向け積極的に責任を果たす」と強調。東北電の海輪誠社長は「震災以来、福島の復興に寄与してきた。再生エネルギーの推進にもできる限り協力する」と語った。

 

政府は昨年末、再生エネの固定買い取り制度を抜本的に見直し、電力会社は再生エネ事業者などに発電の抑制を求めやすくなった。避難区域については東電が最大60万キロワットまでの受け入れを決めたため、事業者が発電抑制を求められる可能性は当面低くなり、事業者の新規参入が活発になるとみられる。
■「高く評価する」 内堀知事

東電、東北電が今回示した対策について内堀雅雄知事は「関係省庁が、再三にわたる本県の訴えに真摯(しんし)に耳を傾けてくれた結果で、高く評価する。今後も再生可能エネルギーの導入推進と関連産業の集積に取り組む」とコメントした。

支援費に317億円 政府補正予算案を閣議決定

政府は9日、再生可能エネルギーの買い取り中断問題への緊急対応を盛り込んだ平成26年度補正予算案を閣議決定した。
東北電力などが大規模蓄電池を導入し、再生可能エネの受け入れ容量を拡大するために行う実証事業の支援費として約317億円を計上している。
■中通り、会津発電抑制も

東電、東北電が避難区域で発電した再生エネルギーの全量を受け入れる見通しとなったが、中通りや会津地方の太陽光発電事業者は、電力需給に応じて電力会社から発電量の抑制を求められる。
 

電力会社が太陽光発電事業者などに発電の抑制を求めやすくする「新ルール」が今月中にも導入される。抑制量は電力需給に左右されるため、事業者にとっては収益計画が立てにくくなる。

 

経済産業省資源エネルギー庁の担当者は「避難区域以外の太陽光発電事業者にとって収益計画を立てることが難しくなるのは確かだが、政府は再生エネルギーを推進したいと考えている。各種補助制度を活用してほしい」としている。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/2015011020264