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電力9社株主総会、個人株主から脱原発提案相次ぐ 再稼働方針懸念。電力自由化の経営戦略の巧拙も(各紙)

2015-06-25 13:40:32

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各紙の報道によると、東京電力など原発を保有する大手電力9社の株主総会が25日、一斉に開かれた。政府は原発再稼動を勧めているが、この日の総会では、脱原発を求める株主提案が9社全てで出された。また、来春の電力小売り自由化を前にして、電力会社自体が相互に競争し合う環境に変わることから、株主からは、各社の新たな経営戦略に対する強い関心が示された。

 

原発再稼動は九州電力の川内原発一号機の再稼動がこの夏に予想されている。政府はエネルギー基本計画で、2030年の原発による発電割合を「20~30%」という高い数値を示しているが、原発再稼動には安全面等でコスト上昇が見込まれている。

 

 東京電力が株主総会を開いた東京都千代田区の東京国際フォーラムでは、株主提案をしている市民団体「脱原発・東電株主運動」のメンバーら約20人が集まり、「原発全基廃炉」を求める主張をした。

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 中部電力の総会では11議案が提案され、そのうち8議案は個人株主から、浜岡原発の廃止や、使用済み核燃料の再利用停止などを求める提案が含まれた。中電は、原発を「重要なベースとなる電源」と位置づけ、今月16日にこれまでの浜岡4号機に加え、3号機も原子力規制委員会に安全審査の申請を行った。

 

 水野明久社長は「浜岡の停止継続で事業運営全般に厳しい状況が続いている。引き続き原子力を重要な電源として活用することが大切であると考えている」と話し、再稼働に理解を求めた。

 

 関西電力は純損益の赤字が続き、今月に電気料金を値上げした。このため森詳介会長は「誠に申し訳ない」と総会で株主に対して謝罪した。市民グループの「脱原発へ!関電株主行動の会」が高浜原発3、4号機(福井県)などの再稼働停止を求める提案をした。

 

 九州電力では、原発依存の経営が収益の悪化を招いたとして瓜生道明社長の解任を求める株主提案が出されたが、九電は原発は安定的に電力供給できる重要な電源と説明し、議案は反対多数で否決された。九電は原発再稼働について、「一日も早く」と強調した。