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UAE、ガソリン・軽油の補助金を撤廃 8月から変動価格制を導入。原油安で収入減、財政赤字回避へ(各紙)

2015-07-23 17:26:20

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各紙の報道によると、アラブ首長国連邦(UAE)は22日、国内向けのガソリンと軽油への補助金を8月1日に撤廃、国際市況と連動した変動価格制を導入すると発表した。同国は世界有数の産油国だが、原油安による原油輸出収入減少を受け、財政を改善するのが目的だ。

 国営の首長国通信(WAM)がエネルギー省の発表として流した。UAEでは現在、政府の補助金によってガソリンと軽油の価格は世界で最低水準にある。ドライバーの負担はレギュラーガソリン1㍑当たり0.47米ドル(約60円)と、西欧諸国の3分の1以下、日本の4割ほどにとどまっている。

 

 しかし、補助金がなくなる8月からは、「国際的な平均価格に操業コストを加えたもの」に基づく翌月の価格が、毎月28日に公表される。これにより、UAE政府が年間70億㌦を負担しているとされる石油関連補助金は大幅に削減される見通し。国際通貨基金(IMF)の推計では、今年のUAEの財政収支は2009年以来の赤字に転落すると予想されていた。

 

 原油価格上昇についてUAEのエネルギー省は「決定は補助金に頼らない経済を築く政府の目標に沿ったものだ」と強調。燃料価格の変更によってUEAの生活費が大幅に上昇することはなく、むしろ、軽油価格は目先下落するとみられることから、景気回復の助けになると説明している。また、軽油を活用する工業、造船、貨物など多くの基幹業種で操業コストの引き下げにつながるとしている。

 

 同時に同省は国民に対して、ガソリン車よりも、ハイブリッド自動車や公共交通機関の利用を促した。石油製品への政府補助金削減は、化石燃料価格が意図的に低く設定されることで温室効果ガスの排出増につながっている、と批判する環境NGOらには評価されそうだ。

 

 原油相場は昨年の高値に比べ半分以下に下がっている。国際指標の北海ブレント原油は足元で1バレル56ドル台。イラン核協議の最終合意などで、イラン産原油の供給が増えるとの見方から、市場では供給過剰感が一段と強まっている。実際、イランは経済制裁解除をにらんで、原油在庫の放出を準備しており、原油相場は当分、弱含みで推移しそうだ。

 

 原油相場の長期低迷は、財政収入の多くを原油輸出に頼るペルシャ湾岸の産油国の財政を圧迫し続けている。クウェートは1月に燃料を値上げした。またUAEのアブダビ首長国は電気・水道料金の引き上げを決めている。

 

参考記事  http://blogos.com/article/124128/