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三菱重工 “空中風力発電所(BAT)“建設に出資。オマーンの財閥企業とともに。僻地、途上国、災害時などに威力発揮(RIEF)

2015-08-31 17:45:28

mitusbishijyuko2キャプチャ

 三菱重工業とオマーンの財閥企業であるSBGは、米国のベンチャー企業であるアルタエロス・エナジーズ社に出資する、と発表した。アルタエロス社が開発した空中浮体式風力発電設備(BAT)の商用化を支援する。

 

今回出資の対象となったBATは、空中に浮かんだ状態で安定した風力を利用して高効率な発電が行えるほか、電気通信などの監視・観察、防犯・防災サービスなどの中継拠点にもなる。このため、遠隔地や送電網が未整備な地域に提供することができる多目的な技術プラットフォームとしても期待される。

 

 BATは、ヘリウムガスを充填した外郭を持って地上約600mの高さに浮かべ、安定した強い風を定常的に受ける仕組みだ。空中の安定した風を利用できるため、同規模の従来型風力発電設備に比べ2倍超の電力量を発電できるという。また、大きな風船のようなものなので、トレーラーによってどこにでも運搬できるほか、設置も簡単にできる。

 

 送電網が引かれていない地域や島しょ部、へき地、災害現場など、素早く電力供給をする際に適している。従来、こうした地域の発電ではディーゼルエンジンが活用されてきたが、燃料供給が不用なことや、迅速に設置、撤去が可能なこと、環境にも優しいことなどから、強いコスト競争力を持つといえる。

 

 三菱重工業とオマーンのSBGは出資により、BAT技術の開発と商用化を支援する。アルタエロス社CEOのベン・グラス(Ben Glass)氏は「世界では10億人超の人々が今も安定的な電力供給を受けることができず、30億人超の人々がインターネットにアクセスできない状態が続いている。三菱重工業とSBGをパートナーとして、この世界的な難問解決に挑戦していく」とコメントしている。

  アルタエロス社は2010年にマサチューセッツ工科大学で設立されたベンチャー企業。同社が取り組む新しい風力発電技術の開発プロジェクトには、米国農務省や米国立科学財団をはじめとする数多くの政府・地方政府機関や有力企業が支援を表明している。また、2014年12月には、ソフトバンクが出資を発表するなど、多くの企業からも注目を集めている。

 

https://www.mhi.co.jp/news/story/150827.html