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東京のベンチャー企業 「台風発電」で必要電力の50倍発電へ 今夏沖縄で実証実験、2018年にも販売(RIEF)

2016-01-05 11:27:38

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 台風の強風を利用して発電する新型風力発電の実用化が、日本の下町のベンチャー企業によって進んでいる。

 

 日本を年に何度も襲う台風の強風は膨大な被害をもたらす。だが、その強風のエネルギーを利用できれば、日本の年間総発電量の50倍もの電力を取り出せるという。

 

 もちろん、通常のプロペラ型の風力発電では風車の羽根そのものが吹き飛んでしまい、発電どころではない。新たな風力発電は、「マグナスの原理」に基づく。同原理は、一定の風力や水力の流れの中に置かれた円柱や球に、流れに対して垂直方向の揚力が生じる現象。19世紀にドイツの科学者マグヌス(マグナス)が発見した。

 

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 ただ、この原理はそのままでは発電につながらない。原理を応用した実用化技術は日本のメカロ社(秋田)が開発した。メカロ社は、円柱に、らせん状のヒダ(スパイラル)を取り付ける技術を開発、これまでNASAやJAXAなどで実証実験を重ね、プロペラ型風力に対して一番条件の良い時で3~4倍の揚力を得ることに成功した。 http://www.mecaro.jp/activity/

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 ただ、同技術でも、風車の風上側と風下側では逆の回転力が生じて、力が相殺されてしまう課題があった。東京のベンチャー企業、チャレナジー社(墨田区)は、回転する円筒を水平ではなく、風に対して垂直に設置し、互いに逆回転する回転軸を2本組み込むことで、安定した発電が可能な仕組みを考案した。

 

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 チャレナジー社は、東日本大震災による原発事故後に、産業機器大手キーエンス出身の清水敦史氏が設立したベンチャー企業。墨田区の浜野製作所の支援を受けて、2018年中の販売を目指しているという。今夏には「台風銀座」の沖縄で実証実験を行う予定。http://challenergy.com/

 同技術が実用化されると、強風だけでなく、微風でも発電が可能になるという。そうなると、日本だけでなく、世界中で電力問題が解決すると同時に、暴風雨の激化をもたらす地球温暖化対策にもつながる。

 

 各紙の取材に対して清水社長は「新しい発電機をつくり、下町から世界に発信したい」「2020年の東京五輪で世界にアピールしたい」と語っている。同技術の普及に向けて、金融面からの支援が期待される。

http://challenergy.com/