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原発禍耐え きょう上場 飯舘村に主力工場(東京新聞)

2011-10-28 18:18:20

福島県飯舘村に工場を構える菊池製作所の菊池功社長=東京都八王子市美山町で
福島第一原発事故で「計画的避難区域」となった福島県飯舘村に主力工場を構える金型製造会社、菊池製作所(東京都八王子市)が二十八日、新興市場のジャスダックに上場する。村民が退避を迫られた村で事故後も操業を続けてきた村出身の菊池功社長(68)は「住民が村に戻ったとき、雇用の受け皿になりたい」と上場を機にさらなる成長をめざす。 (服部利崇)

福島県飯舘村に工場を構える菊池製作所の菊池功社長=東京都八王子市美山町で





 一九七〇年に八王子市で創業。金型づくりだけでなく板金、機械加工も手掛け、携帯電話を試作品から製品までつくっている。東京本社にも工場があるが、約二百三十人が働く飯舘村内の六工場が売上高の六割を占める主力生産拠点だ。




 

だが、放射能への不安などから、三十人弱が社を去った。菊池社長は「残った従業員の不安を少しでも軽くしたい」と、工場出入り口などにエアシャワーを計十台設置。比較的高い線量を計測したアスファルトを削り取るなど、独自の除染に取り組んできた。




 

事故から約一週間後に操業を再開。スマートフォン(多機能携帯電話)の需要増などで原発禍でも事業は順調だ。二〇一二年四月期業績予想は、売上高が前期比4・6%増の六十八億円、純利益は同48・0%増の四億八千三百万円だ。




 事故後も業績が安定していたため、上場を決断。菊池社長は「厳しい経営環境で眠れない夜もあったが、培ってきた技術と、従業員の頑張りで上場できた」と感謝。「知名度を上げて新工場を福島県内に建て、地域再生のけん引役を務めたい」と思いを熱く語る。




 上場セレモニーは二十八日に東京証券会館一階で開き、村からは門馬伸市副村長らが招かれている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2011102802000040.html