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九州の人、要注意!  玄海原発事故 SPEEDI、1時間で有明海・佐賀市・福岡市汚染の可能性(Greenpeace)

2011-12-22 16:23:51

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11月20日、佐賀県は玄海原発で「福島原発と同レベル」の事故が起きたと想定する避難訓練を行った。グリーンピースは「福島原発と同レベルの事故」という点に注目し、佐賀県に対してこの避難訓練で使用したSPEEDI( 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報公開請求を行っていた。

驚愕、強風で有明海まで1時間で汚染が到達

昨日、グリーンピースに対して佐賀県から情報公開されたSPEEDIデータをみて驚いた。

11月20日は、強風だったらしい。

事故を想定した、午前8時の段階で北北西の風が12.5m/sと示されている。 




( ↑  事故想定時の風向きを示した図 )

この強風だと、以下の図のように放射線は風にのって細長く拡散されていく。



( ↑ 放射性物質の放出開始時間を午前8時として、午前8時から午前9時の拡散予測図)



( ↑ 放射性物質の放出開始時間を午前8時として、午前9時から午前10時の拡散予測図)



( ↑ 放射性物質の放出開始時間を午前8時として、午前10時から午前11時の拡散予測図)
このSPEEDIが示していたのは放射線物質の拡散開始から、1時間足らずで佐賀県を突き抜け50キロ離れた有明海まで到達するという予測だ。

有明海は、生物多様性の宝庫であり、地域の経済と密接に関係している。

また陸地に囲まれている湾であることから、汚染が拡散されず蓄積される可能性が高い。

予測図が突きつける避難の難しさと同心円状の避難区域設定の無意味さ

福島原発事故を受けて、国の原子力安全委員会は、原発から30キロ圏を「緊急防護措置区域」(UPZ)と新たに設定し、事故時の対策を重点的に行うとした。

しかし、今回のように12.5m/sの風にのって、猛スピードで放射性物質が拡散される場合30キロ圏の「緊急防護措置区域」はまったく機能しない。

この予測図に基づけば、原発から10キロ東に住む人を避難させるより、原発から50キロ離れた佐賀県白石町、武雄市などの住民を避難させることが重要となる。

福島原発事故で、同心円状に避難区域を設定することが無意味であったことを学んだはずだが、このような気象条件であれば、30キロと「緊急防護措置区域」を広げても、福島と同様の悲劇を繰り返すかもしれない。

風向きが変われば、佐賀市、福岡市も1時間で汚染

この風速で放射性物質が拡散される場合、風向きが西寄りに変化すれば23.5万人の住む佐賀市、そしてさらに西に変われば40キロも離れていない148万人都市の福岡市が1時間で汚染され始めることを示している。

考えただけでも、恐ろしい。

福岡県は、現在九州電力と安全協定を結ぶことで合意しているが、このようなSPEEDIのデータを見る限り、福岡県民が事故時に取り返しのつかないリスクを負うことがわかる。
そう考えれば、福岡県民が再稼働の是非に関与できるべきなのは至極当然だ。

福岡県は、九電と安全協定を結ぶ際に、しっかりとした権利を有する安全協定を結ぶべきだと思う。

滋賀県、運転再開時の事前了解権利つきの安全協定を求める

福岡県は厳しい安全協定を九電に認めさせるべきと述べたが、これは何も新しいことではない。

12月20日、滋賀県の嘉田由紀子知事は、隣接県であっても「立地県と同レベル」の原子力安全協定を結ぶべきだと述べ、原発の運転再開時の事前了解や立ち入り調査権が盛り込むよう求めるという。

SPEEDIをもっと活用して情報公開を

今回のようなSPEEDIデータが情報公開のプロセスを経なければ公開されないこと自体が問題だ。

このようなデータは積極的に公開し、リスクをコミュニケーションしなければ再稼働の是非について住民が正しく判断できるはずがない。

また、今回のSPEEDIでは、実際にどの程度汚染が広がるのかの予測は行われていない。

実際に放出される放射性物質の量をSPEEDIデータに入れ、人体への影響なども計測して、それを公開すべきだ。

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/speedi1/blog/38508/