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三井物産、燃料用石炭の新規開発事業から撤退へ。温暖化対応の投資家へ配慮。ただ、鉄鋼用石炭への投資は継続方針(各紙)

2018-10-31 21:28:22

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 三井物産は31日開いた決算説明会で、燃料用石炭(燃料炭)を産出する鉱山の新規開発から撤退する方針を明らかにした。石炭は地球温暖化対応で、化石燃料投資へ懸念が欧米投資家を中心に広がっていることを受けたもので、オーストラリアなどで保有する鉱山の売却も検討するとしている。ただ、鉄鋼用石炭への投資は継続するとしている。総合商社では先に、丸紅が石炭火力発電の縮小を表明している。

 

 日本経済新聞等の報道によると、三井物産の新規石炭鉱山事業からの撤退方針は、決算説明会で安永竜夫社長自らが「燃料炭への新規投資はしない」と明言した。三井物産はオーストラリアなどに鉱山を持っており、燃料用の石炭を年間350万㌧生産している。安永社長は「機会があれば鉱山の売却を検討する」と述べ、燃料用石炭の生産からの撤退を示唆した。

 

三井物産の安永社長
三井物産の安永竜夫社長

 

 ただし、鉄鋼原料のコークスになる石炭(原料炭)は、製鉄に欠かせない素材であるため投資を継続する方針という。こちらは、西アフリカのモザンビークなどで年間930万㌧を生産している。また原料炭の鉱山から副産物として産出する燃料炭の販売は続ける方針という。

 

 発電事業ではCO2排出量が少ない技術を使った石炭火力発電所に限って、石炭の利用を継続するとした。三井物産は各地で約900万kWの発電事業を手掛けており、このうち2割を石炭火力が占める。同社の石炭火力の大半は「超々臨界圧(USC)」方式を採用しており、実質的に現行の発電体制の修正は必要ないという。

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 燃料用の石炭投資を見送る代わりに、環境に比較的優しい液化天然ガス(LNG)や再生可能エネルギーへの投資を増やすとしている。LNGでは米ルイジアナ州で2019年に生産を開始するほか、モザンビークでの開発も検討している。

 再生可能エネルギーは発電事業に占める比率を現在の16%から、30年までに30%に引き上げる。安永社長は「再エネは一つ一つの発電容量が小さいため手間と時間をかけてやっていく」と話した。

https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/meeting/account/index.html

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO37163340R31C18A0XQ9000?type=my#AAAUgjIwMA