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東北発「再エネ発電ベンチャー」のアウラグリーンエナジー社、海外再エネ事業に挑戦。インドネシア・スマトラ島でパーム油残渣活用のバイオマス発電所建設へ。JCM補助事業にも認定(青森)

2019-02-22 17:47:34

auraキャプチャ

 

 地方発エネルギー企業のアウラグリーンエナジー(青森市:AGE)は、インドネシア・スマトラ島アチェ特別州でアブラヤシのバイオマス発電プラントを建設する。パーム油を抽出した後のパーム油残渣の空果房(EFB)を燃料として発電する。出力は約1万2000kW級で、設備費用は約30億円。環境省の二国間クレジット制度(JCM)設備補助事業に認定され、2021年に稼動予定。

 

 (写真は、建設予定のバイオマス発電所の完成予想図)

 

 4月をめどに現地で発電所建設に着手する。完成後は売電収入で年間約7億円を見込んでいる。アブラヤシからはパーム油を採取するが、油をとった後に、出る廃棄物の一つがEFB。パーム核粕(PKC)や、パーム廃液(POME)などもある。これらの廃棄物は、バイオマス発電の燃料に転用されており、日本でも東南アジア等からEFBやPKCの輸入に頼ったバイオマス発電所が各地に設立されている。

 

 EFBの場合、燃焼時にボイラーを腐食する金属成分が多く出るため、これまでは有効利用できずに、大量廃棄されていた。今回、その問題を解決するため、AGEが耐蝕性を高めたステンレス製の燃焼容器を採用するほか、熱プロセス管理を厳密に解析・調整することで、高効率バイオマス発電が可能になるという。

 

 AGEは、AGEは現地の政府系企業や地域企業と特別目的会社(SPC)を設立。AGEも全体の約30%の7000万円を出資し、現地でバイオマス発電所を建設する。日本にEFBを輸出して発電するよりも、輸送中のCO2排出量を削減できるほか、CO2排出削減を現地で実現することによるクレジットの発生、雇用につながるメリットがある。

 

 原料となるEFBは隣接するパーム油工場から、ベルトコンベアで発電所側に配送される仕組み。20年間の安定供給契約を締結している。同事業は環境省の「JCM設備補助事業」に採択されたことで、国から9億円の補助を受けた。年間のCO2削減量は3万1322㌧を見込んでいる。

 

 AGEの川越幸夫社長は「このプロジェクトをぜひ成功させ、これを足掛かりに、インドネシアでの小型水力発電、ごみ発電等再エネ発電事業の拡大を予定している。北東北地区の一中小企業による最初の新エネ型ビジネスの海外進出事例であり、内外での信用力を増して、今後も、再エネの余剰電力によるサーバー事業、熱利用による直物工場、スマートアグリ等へ循環型ビジネスモデルを輸出につなげたい」と語っている。

 

 AGEは2015年に青森市に設立された再エネ事業会社。これまで小型風力発電事業等を東北地方を中心に展開している。

http://a-ge.jp/

http://a-ge.jp/img/topics/AURA-GE_press_47313.pdf