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住友商事、ベトナム・バンフォン1石炭火力発電所事業の建設に着手。CO2排出量の多い超臨界圧石炭火力事業。温暖化の加速化の懸念。3メガバンクが融資へ(RIEF)

2019-08-27 14:45:17

Vietnumキャプチャ

  住友商事は、ベトナムで住民団体の反対が続いているバンフォン1石炭火力発電事業の建設に着手した、と発表した。同事業は、OECDの公的輸出信用アレンジメント(OECDルール)が認める超々臨界圧石炭火力発電所よりもCO2排出量の多い超臨界圧火力(SC)であることから、内外の環境NGOや現地住民らが建設反対を求めている。住商は先に新規石炭火力発電事業は手掛けないとする方針を公表したが、ベトナム案件は「個別判断」としている。

 

 住商によると、発電所はベトナム カインホア省バンフォン経済特別開発地区に建設される。発電容量1,320MW(660MWの発電設備ユニット2基)のSC発電所を新たに建設する。事業主体は住商100%子会社のVan Phong Power Company Limited。発電した電力は、稼動後、25年間にわたりベトナム電力公社(Vietnam Electricity:EVN)に売電する。総事業費は約2800億円で、日本の国際協力銀行(JBIC)が融資するほか、日本貿易保険(NEXI)が保証をつけ、三井住友銀行など3メガバンクがそろって融資する見通しの「日の丸案件」。

 住商は2009年に開発を決定、その後、「ベトナム側の契約交渉に時間がかかって、承認手続きが遅れていたと説明している。ただ、SC火力発電は、OECDが途上国向けに輸出する500MW超の石炭火力事業へのOECD加盟国の政府支援を制限しており、やむを得ず公的信用で支援する場合は①超々臨界圧(USC)もしくは、②温室効果がス排出量が750g CO2/kWh未満の石炭火力のみ、としている。

住友商事の石炭火力発電建設に反対する環境NGOら
住友商事の石炭火力発電建設に反対する環境NGOら

 このOECDルーに照らすと、住商の事業はJBICやNEXIなどの公的支援の対象にならないことになる。ただ、OECDルールには移行期間の措置として、2017年1月1日以前に、事業化調査(FS)と環境影響評価(アセスメント)が完了し、迅速に申請手続きがなされたものに限り、例外を認めている。報道によると住商は「(例外規定に合致しており)問題はない」としている。

 しかし、環境NGOらは、同発電所の最初のESIA(環境・社会アセスメント)は2011年に完了し、その後2015年に改訂されているが、最新のESIAが完了したのは2017年11月で、これは従来のESIAに比べて、分量が2倍もある。このためNGOは「2017年以前に行われたESIAをもって、移行期間の例外要件を満たしたとは言えない」と指摘している。http://rief-jp.org/ct5/86994

 また、最初のESIAの完了は8年前で、その後、改訂を続けており、もう一つのOECDルールの例外規定である「迅速な対応」に該当しない、とも指摘している。しかし、今年4月19日にJBICとNEXIは、住商の案件に対する支援決定を発表している。

 住商は「石炭火力発電事業については、新規の開発は行わない方針だが、地域社会における経済や産業の発展に不可欠で、国際的な気候変動緩和の取り組みや動向を踏まえた、日本国およびホスト国の政策に整合する案件は、個別に判断することとしており、本事業は、この考えに基づき取り組む」と述べている。http://rief-jp.org/ct4/92887

https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2019/group/12310