HOME |中国ウイグルでの人権問題で、同地で生産の「新疆綿」取引をめぐり、日本の繊維産業の調達停止・見直し13社。対象の約4割。米欧の政治対応と中国の反発で「CSRが板挟み」に(各紙) |

中国ウイグルでの人権問題で、同地で生産の「新疆綿」取引をめぐり、日本の繊維産業の調達停止・見直し13社。対象の約4割。米欧の政治対応と中国の反発で「CSRが板挟み」に(各紙)

2021-09-27 11:05:55

sichan001キャプチャ
  各紙の報道によると、中国新疆ウイグル自治区で生産された「新疆綿」を巡って、日本の大手アパレル、スポーツ関連企業50社のうち、すでに8社が全面的な使用停止あるいは新製品での停止を決めたことがわかった。一時見直し、使用量削減を含めると13社が実質的な調達見直しを実施していることになる。ただ、使用停止の公表は中国の不買運動の対象になりかねず、各社とも使用停止の公表を見送っている。

 調査は共同通信が実施、26日に報道された。上場企業の上位50社を対象とし、回答内容について原則非公開の条件で、33社から回答を得たとしている。したがって、実質的に使用停止等の措置を取っている企業は約4割になる。ただ、「風評被害の懸念がある」として、CSR行動で問われる調達方針を明確にしない企業も多かったとしている。
 同報道では、使用を続けると回答した企業は5社。そのうち、良品計画は「人権侵害が判明し、是正が期待できなければ取引を中止する」と回答したとしている。新疆綿使用の有無を調査中、調査予定と回答した企業は4社。調査に回答しなかった企業のうち、ミズノは共同通信の取材に対して「使用停止方針」であることを確認したとしている。
 繊維産業では、海外だけでなく国内でも技能実習生が過剰残業などの劣悪な労働環境を強いられているとの指摘もある。今回の調査では、取引先に対して第三者機関による監査や、労働現場への訪問調査等の実施の有無を確認したところ、外部チェックの受け入れ企業は約3割の12社にとどまった。全く措置を講じていない企業は6社。サプライチェーンでの人権侵害を調査、防止するための態勢整備が不十分な現状も明らかになった、と指摘している。
 新疆綿を巡っては、中国での少数民族ウイグル族の強制労働の対象になっているとして、米中対立を背景に、米欧が関する輸入規制を実施している。投資家、消費者からの企業への人権対応を求める動きも高まっている。一方で中国市場は同綿の調達市場であるとともに、衣料品等の大きな消費市場でもあり、繊維企業等は対応に苦慮している。