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日本郵船、グローバルに展開する外航船ネットワークを活用、海洋マイクロプラスチック汚染のビッグデータ収集へ。千葉工業大学と連携し「プラゴミマップ」作成目指す(RIEF)

2020-03-09 11:34:07

yuusen2キャプチャ

 

 日本郵船は、グローバルに展開する約750隻の外航運航船ネットワークを活用して、航海中にマイクロプラスチックを採取、同プラスチックの研究を行っている千葉工業大学と連携して世界全体の「プラゴミマップ」の作成に乗り出した。海洋プラスチックの汚染状況を正確に把握することで、ソリューション開発につなげる考えだ。今月からトライアルを開始している。

 

 現在の推計では、毎年800万㌧以上のプラスチックごみが世界中の海洋に流入しているという。このままだと2050年には海洋プラスチックごみの総重量が海中に生息する魚類の総重量を超えるとの予想もある。プラスチックは海中で半永久的に分解されず、紫外線や波浪等の影響を受け、直径5㍉以下の「マイクロプラスチック」に細分化される。それを摂取した魚介類等の体内に取り込まれ、食物連鎖を通じて海洋生態系全体に広がっている。人体への取り込みも確認されている。

 

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 ただ、現状では、どこに、どれだけの量の、どのような種類のマイクロプラスチックが浮遊、蓄積しているか、年間どのくらい増え続けているかという実態は解明されていない。そこで日本郵船は同社の外航船舶ネットワークを活用して、航海中にマイクロプラスチックを採取。そのデータを千葉工業大学がサンプル分析を行い、マイクロプラスチックのサイズ・分布濃度・経年等が分かるプラゴミマップを作成することとした。

 

 同マップは、マイクロプラスチックのサイズ・分布濃度・経年等が分かる仕組みで、汚染状況に応じたプラスチックゴミ削減、回収等のソリューション創出を目指す。民間企業と研究機関が協力し、広範囲な海域でマイクロプラスチックの実態調査を行うのは、世界で初めてだ。日本郵船にとっては自らのビジネスを展開しながら、社会活動に資するESG活動となる。さらに国内外のパートナーと連携、IoTによる自律航行技術を応用した「プラゴミ回収船」などの具体的なソリューションによる事業化も視野に置いているという。

 

日本郵船の外航船舶ネットワーク
日本郵船の外航運航船ネットワーク

 

 すでに今月から、トライアルとして、ドライバルク船の3隻を活用してサンプリングを開始している。この結果を受けて順次調査の船種と海域を増やし、サンプル採取方法を確立する。サンプリング日時、位置情報、気象海象データ等と分析結果を紐づけてマイクロプラスチックのビッグデータ集積を行い、世界規模の詳細なプラゴミマップの作成を目指している。

 

https://www.nyk.com/news/2020/20200306_01.html