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商船三井と三浦工業、商業船舶のバラスト水処理設備に装着可能なマイクロプラスチックを回収設備を開発。水深5~10mの海中からの回収が可能。試験航海で手応え(RIEF)

2020-12-09 21:34:19

miuraboiler002キャプチャ

 商船三井とボイラーの三浦工業(愛媛県松山市)は、新造の木材チップ運搬専用船のバラスト水処理設備に装着できるステンレス製フィルターのマイクロプラ回収装置を開発。試験航海でマイクロプラスチックの回収に成功した。早ければ2021年中に試験収をする船を増やして実証化を進めるとしている。航行するだけでマイクロプラスチックを回収できるようになるため、実用化に期待したい。ただ、木材チップ専用船の場合、バイオマス発電による生態系破壊の問題が指摘されているため、別の種類の船舶での活用をお願いしたい。

 同社の発表と、日本経済新聞の報道によると、10月27日に瀬戸内海で実施した試験航海では、木材チップ運搬用新造船のバラスト水処理装置に、ステンレス製フィルターのマイクロプラ回収装置を設置。バラスト水のろ過で分けられた一部の汚水を、さらにろ過精度0.5~1mm程度のフィルターに通してマイクロプラを回収する実験を実施した。

 試験では、網目の細かさなどが異なる3種類のフィルターを試した。それぞれのフィルターを1時間程度ずつ稼働させた結果、百数十個のマイクロプラを回収できたという。マイクロプラスチック回収装置は、バラスト水処理装置運転中に起動させて回収するもので、荷役中の実施を前提としている。バラスト水処理装置を構成する逆洗機能付きフィルタを利用し、同フィルタに捕集されたマイクロプラスチックを船外排出する手前で採取する仕組みという。

バラスト水処理設備に装着できる回収装置の概念
バラスト水処理設備に装着できる回収装置の概念

 開発した回収装置は水深5~10mの、やや深い海中の水を処理できる点が魅力だ。また、商船を活用することで処理量も大きくなるという。試験に使った木造チップ船は長さ約200m、幅32mの大きさ。海外でバイオマス発電の燃料となるチップを積み込み、1~2カ月の頻度で日本に寄港、荷揚げする。今後も試験を重ねて、2021年中には試験船を増やして実用化の可能性を探る。

 現段階で回収装置を商品化する場合、数百万円程度の販売価格になると見込んでいる。ただ、バラスト水処理装置本体に比べると安価で、船の燃費への影響もほとんどない。操作も簡単なことから、海洋環境への配慮を意識する船主らの需要が期待できる、とみている。「グリーン船」のブランドを得ることができる。積み荷も、通常の雑貨等、環境負荷の少ないものが望ましい。

 三浦工業はボイラーメーカーとして知られるが、船舶用のバラスト水処理装置の販売でも、2014年から2020年度末までに累計1200台を内外で販売するなどの実績をあげている。

https://www.miuraz.co.jp/info/newsrelease/2020/11/24/1400.html

https://www.mol.co.jp/pr/2020/20084.html