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昨年、インドまで拡大したサバクトビバッタの群れ、再びアフリカ東部で大群形成へ。エチオピア、ソマリア等。新型コロナウイルス感染の影響で駆除作業に影響の懸念も(RIEF)

2021-01-12 08:13:45

Locust002キャプチャ

 

 昨年、アフリカから中東、アジアにかけて広がったサバクトビバッタ(desert locust)が昨年末から年初にかけて、アフリカ東部で拡大し始めた。「アフリカの角」と呼ばれるソマリア、エチオピア等の地域を中心に、ケニア、タンザニア等4カ国で、新たに産卵したバッタの幼虫の大群が群れを成して飛び回っているという。新型コロナウイルス感染の拡大で、人手での除去作業が制限される中で、昨年のようなバッタの襲来が広がると、被害が倍増する懸念も出ている。

 

 (写真は、ケニアのWajir地区。空に黒く浮き上がるのは、舞い上がるバッタの群れ。1月6日。FAOサイトから)

 

一昨年後半に東アフリカで発生したサバクトビバッタの大群は、紅海を超えて中東に進出、その後、パキスタン・インドの穀倉地帯に被害を与え、ネパールまで達した。夏に入って、ようやく収束した。https://rief-jp.org/ct12/103073

https://rief-jp.org/ct12/105981

 しかし、その後、アラビア半島のイエメンに残留していた群れがエチオピアに戻って産卵に入ったほか、10月後半から12月にかけて、ソマリア等で世代転換を終えた、新たな群れが増え始めた。そこに11月後半に、インド洋で発生したサイクロン・ガティは気候変動の影響でソマリア等に豪雨をもたらし、バッタの産卵を一気に高めた。https://rief-jp.org/ct12/104466

 

まだ密集化した地域は限られるが・・・
まだ密集化した地域は限られるが・・・

 

 ガティによる豪雨は、ソマリア北部では2日間で年間平均雨量の2倍も降り注ぎ、各地に洪水をもたらした。また強風は、孵化したバッタたちが群れをつくって各地に展開する手助けをする形となった。「バッタ発生の好条件」の形成を受けて、バッタの群れは活力を回復。エチオピアの東部から、同国の中央、南部の各地域、ケニア北部。さらには1月8日にはタンザニアの北東部へとすでに、到達しているという。

 ケニアでは、孵化して日の浅い若いバッタの群れが、北部地域全体に広がっている。ソマリアでは北西部を中心に若いバッタが飛び回っている。産卵と孵化が着実に進展し、バッタたちは次々と羽ば立っている。

 

平原を飛び回る新たに孵化したバッタの群れ(ケニア)
平原を飛び回る新たに孵化したバッタの群れ(ケニア)

 

 イエメンで一冬を過ごした成虫のグループは、紅海を挟んでスーダンとエリトリアの国境付近で群れを成している。紅海とアデン湾の間を、バッタたちは引き続き行き来しているという。コロナではないが、「変異バッタ」の出現も懸念される。

 

 各国では、駆除作業を展開している。だが、コロナ対策で人手による駆除作業は前年よりも難航が予想されている。一方で、バッタの群れは乾燥した他の地域に向かって拡散している。国際食糧農業機関(FAO)は、今後、1月中に、タンザニア、ウガンダ東部、南スーダン等にも広がるとみている。

http://www.fao.org/ag/locusts/en/info/info/index.html