HOME12.その他 |芙蓉総合リースと住友不動産、賃貸オフィスビルで、テナントスペースに限定した再エネ電力導入を実現。非化石証書のトラッキング情報を活用(RIEF) |

芙蓉総合リースと住友不動産、賃貸オフィスビルで、テナントスペースに限定した再エネ電力導入を実現。非化石証書のトラッキング情報を活用(RIEF)

2021-03-11 18:09:09

fuyou001キャプチャ

 

 芙蓉総合リースと住友不動産は、賃貸ビルにテナントとして入居する芙蓉リースグループの賃貸スペースに自社開発の再エネ電力を導入する取り組みを開始すると発表した。オフィスビルでの再エネ導入で、個別テナントごとに導入することは難しいとされてきたが、 太陽光発電所を由来とする環境価値をテナントの使用電力に紐づけることで、可能になったとしている。

 

 両社によると、対象となるのは東京・千代田区の「住友不動産麹町ガーデンタワー」(22階建て)。同ビルの16~22階を芙蓉総合リースグループの本社機能が入居し、4月から同スペースでの使用電力として、同グループが福島県浪江町に保有する太陽光発電所からの「RE100適合電気」を導入する。

 

 従来、オフィスビルに再エネ電力を導入する場合、自社保有ビルや一棟全てを賃借したビルが中心で、複数テナント入居のオフィスビルで個別テナントに再エネを導入するのは技術的に困難とされてきた。特定のテナント分だけ再エネ電力として切り分けることが困難なためだ。

 

非化石証書を活用したスキーム
非化石証書を活用したスキーム

 

 今回、両社は、太陽光発電を由来とする非化石証書を使う。同証書が認定する環境価値を、テナントスペースでの使用電力分と紐づける契約(トラッキング情報の付与)を結ぶことで、テナント入居企業が実質的に再エネを導入できることになると説明している。証書を購入した小売電気事業者(東京電力エナジーパートナー)はCO2フリーの電力を芙蓉総合リースに販売することができる。

 

 

 非化石証書は日本卸売電力取引所(JEPX)が発行し、小売電力事業者が購入する仕組み。芙蓉総合リースは、東京電力エネジーパートナーから購入した電力をRE100適合電力として扱う。ビルの共用部の電力と他のテナントスペース分は一般電力でまかなう。両社は、今後、脱炭素を推進する企業等にとって、テナントスペース単位での再エネ導入を図る新たな選択肢となると指摘している。

 

 芙蓉総合リースは昨年2月、福島・浪江町の帰還困難区域で、「浪江酒井第一・第二」の二つの太陽光発電所を稼働させた。合計で発電容量は約60MW、年間予測発電量は約6027万WH。一般的な家庭の年間消費電力量の約1万6,700世帯分に相当し、同社の太陽光発電事業としては最大の発電所。このうち、今回は、第一発電所の発電電力を対象とした非化石証書を活用する。

 

 同社では「震災より10年を経た同町復興の証のひとつである同発電所の再エネ価値を活用するとともに、今後さらなる復興 へのお手伝いができないか、本件を機会に同町との連携を深めていきたい」とコメントしている。

 

 浪江町も「本件により、浪江町産の再エネがテナントスペースの再エネ導入という新たな取り組みに活用されることで、当町の環境価値が高まり、さらなる再エネ・新エネ事業の誘致につながることを期待する」としている。

 

 芙蓉リースグループは、RE100に加盟し、2050年に100%再エネ化、2030年に50%再エネ化を実現する中間目標を掲げてきた。だが、中間目標については先般、2024年7月までに前倒し実現する、と改めた。今回の取り組みは、その実現を着実に進めることにつながるとしている。

 

  住友不動産グループは、「今後も、高い環境性能を誇る物件を開発し、運用面においても温室効果ガ ス排出量の削減をはじめとした各種取組みをより一層推進することで、脱炭素社会の実現に貢献していく」とコメントしている。

http://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/20210309_release_hukushimaken-namietyou-RE100dounyuu.pdf

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8424/tdnet/1942475/00.pdf