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スリランカ沖で、シンガポールの貨物船が火災・航行不能に。積み荷に大量のマイクロプラスチック。プラスチック製品による直接の海岸・海洋汚染の懸念(RIEF)

2021-06-07 20:07:41

Srilanka003キャプチャ

 シンガポールのコンテナ会社、エックス・プレス・フィーダー(X-Press Feeders)社が運航する貨物船がスリランカ沖で火災を起こして航行不能に陥り、積み荷の化粧品用の大量のマイクロプラスチック・ペレットや化学物質が海洋流出している。コロンボ周辺の海岸には、流出したマイクロプラスチック等がコロンボ周辺の海岸に大量に流れ着き、回収作業が行われている。積み荷のマイクロプラスチック量は約2万3000㌧に上るとの報道もあり、過去最大のマイクロプラスチック海洋汚染事故に発展する可能性も指摘されている。

  (写真は、火災を起こして航行不能に陥った貨物船=スリランカ空軍の映像)

 火災を起こした船は同社所属のX-Press Pearl号。5月20日、インドのGujarat港からカタールの港に向かう途中、スリランカのコロンボに寄港。同港を出港した後に、火災を起こした。スリランカから派遣された消防船等が消火に当たり、火災は13日後にほぼ消えたが、船は半分が沈んだ形となっている。船員2人がケガを負った。

 海外からの報道によると、火災は積み荷の硝酸が漏洩して起きたとみられる。硝酸は爆薬用とされる。その他にペイント用のエポキシ樹脂、エタノール、蓄電池用の鉛材、水酸化ナトリウム、潤滑油、アルミニウム副産物、ポリエチレン素材・製品、化粧品用品、食品と多様な化学物質関連資材を積載していた。また燃料油の流出も懸念されている。

 Srilanka001キャプチャ

 沈んだ船からこれらの積み荷の一部が流出、スリランカの西海岸では化粧品用のマイクロプラスチックペレットが大量に打ち上げられ、スリランカ海軍が人海戦術で回収作業に当たっている。マイクロプラスチックだけで、毎日200袋分を回収しているという。 同海岸では、ウミガメの産卵地でもあり、海鳥や魚への影響も懸念されている。

 積み荷の中には、「環境有害物質」と明記されたものあるという。ただ、当該積み荷の内容物質については現時点では公表されていない。積み荷のマイクロプラスチックペレットは化粧品用という。他の有害物質を含め、約1500個の積み荷に5万ポンド分(約2万3000kg) が積まれていた。また燃料油は全体で350㌧。

汚染された海岸で続けられる回収作業
汚染された海岸で続けられる回収作業

 スリランカの海洋保護庁(MEPA)代表のDharshani Lahandapura氏は「流出したマイクロプラスチックによる海洋汚染はインド洋全体に壊滅的な環境汚染を何年にもわたって及ぼす可能性がある。さらに貨物船からの燃料油流出も沿岸部30kmにわたって打撃を与える可能性があると警告している。

 また火災で大気中に拡散した化学物質からの窒素酸化物や硫黄酸化物等が酸性雨を引き起こす懸念も出ている。周辺海域の沿岸80kmの範囲で漁業は禁止されている。スリランカ政府は、今回の事故および海洋清掃活動の費用は1700万㌦にのぼるとして、調査を開始したという。報道では現地警察が乗組員への事情聴取を始めているとしている。

https://www.x-presspearl-informationcentre.com/

https://www.greenqueen.com.hk/environmental-disaster-cargo-ship-fire-leaves-sri-lankas-beaches-two-feet-deep-in-microplastics-as-marine-life-wash-up-dead/