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オーストラリア東部で、干ばつ後にネズミが大量発生。「ネズミ算」で増殖。農家の穀物を食べ荒らし、工場の機械にも噛みつく。気候変動と生態系改変の影響も(各紙)

2021-06-19 22:37:29

Miceキャプチャ

 

 オーストラリア東部のニューサウスウェールズ州の各地で、ここ数年に及んだ干ばつがようやく終わった春以降、ネズミの大群が発生。農家や住宅等が大きな打撃を受けている。同州政府は、農家や小規模事業者らのネズミ駆除資金として5000万豪㌦(約42億5000万円)の助成金を交付し対策に乗り出している。だが、ネズミの数が多く、十分な効果をあげていない。地球温暖化の影響と、人がネズミの天敵となる猛禽類等を駆除した影響等が重なっているようだ。

 

 生物の大量発生が人々の経済生活を大きく阻害するケースは、昨年はアフリカで発生したサバクトビバッタ(Desert locust)の大群が、中東からインド・パキスタンにまで何重もの群団となって各地を襲った事例が記憶に新しい。サバクトビバッタの場合も気候変動で激化したサイクロンの豪雨の後に大量発生し、各地に膨れ上がった。

 

家の中を、無数に走り回るネズミたち
家の中を、無数に走り回るネズミたち

 

 オーストラリアでは時々、こうしたネズミの大量発生が起きるという。だが、今回の発生は過去10年でも最悪。ネズミたちは農家等の住宅に入り込んで、穀物類を食べ尽くすだけでなく、工場では電気設備等を切断したり、病院に侵入して患者に噛みつく事態もあちこちで起きているという。ネズミ算での大量増殖で侵食域を拡大。死骸が悪臭を放つ公衆衛生上の問題も生じている。

 

 ネズミだけではない。3月下旬には同州で起きた大規模な洪水で、1万8000人の住民が避難を余儀なくされてたが、その後、周辺の街でクモが大量発生し、住宅に押し寄せる問題も起きた。普段は地面近くで生息していたクモたちが水没を避けて、住宅の壁面等に大量避難したためという。

 

nezumi-1キャプチャ

 

 南半球は冬に向かっており、ネズミの大発生は、冬の間中続く可能性がある。今年の冬も降雨量が少ないと、また干ばつが広がり、春までに再び、ネズミたちが大量に発生するリスクもあるという。また冬が暖かいと、ネズミたちの食糧も十分に維持されてしまう。ネズミの大量発生は突発的な現象ではなく、慢性的に続く懸念も出ているという。

https://www.afpbb.com/articles/-/3352033