HOME12.その他 |コロナ禍での東京オリンピックの一方、本家ギリシャのオリンピア周辺を含め、ギリシャ、トルコ等の南欧諸国は熱波と森林火災が連日発生、住民避難が続く。EU諸国が緊急消火部隊を派遣(RIEF) |

コロナ禍での東京オリンピックの一方、本家ギリシャのオリンピア周辺を含め、ギリシャ、トルコ等の南欧諸国は熱波と森林火災が連日発生、住民避難が続く。EU諸国が緊急消火部隊を派遣(RIEF)

2021-08-06 00:59:01

Greek001キャプチャ

 

 「オリンピアが燃えてしまう」--。ギリシャを中心に、隣国のトルコ、さらにはイタリアも含む地中海諸国で、熱波の連続による異常乾燥の影響を受けた森林火災が各地で発生している。ギリシャのペロポネソス半島にあるオリンピック発祥の地のオリンピア周辺でも火災の広がりで緊急避難指示が出された。コロナ蔓延の渦中で開催が継続されている東京オリンピックだが、本家のオリンピアは気候変動の激化に翻弄される夏になっている。

 

 (写真は、森林火災が住宅に迫り、避難する住民たち=ギリシャ・アテネ周辺で)

 

 連日、40℃以上の高温が続くギリシャ各地では、強風の影響もあって、ここ数日で150カ所以上で森林火災が発生している。3日は最高気温が46℃にまで上昇、火災の勢いは止まっていない。熱波と森林火災の連動は、同国だけでなく、トルコでも広がっており、トルコでは死者が8人出ている。同地に訪れていた観光客たちも避難を余儀なくされた。https://rief-jp.org/ct8/116700

 

火災は手のつけられない勢いで燃え盛る
火災は手のつけられない勢いで燃え盛る

 

 ギリシャの森林火災は国全体に及んでいる。火災は、ペロポネソス半島西部にあるオリンピアの街の周辺でも続いている。同地では、森林から住宅や工場等にも燃え広がっているという。住民たちには住宅から避難するよう指示が出されている。すでに煙を吸い込んだ住民7人が病院に運ばれた。

 エーゲ海のエヴィア島やロードス島などでも火災が広がっている。住民や観光客らが船で脱出するなどの騒ぎになっている。また火災で送電網が切れて各地で停電が起きているほか、鉄道等も運行不能になっている地域が出ている。隣国のトルコ、イタリア、アルバニア、北マケドニア等の地中海沿岸諸国も、熱波と森林火災に覆われている。

 アテネ半島の最高峰として知られるパルニア山の裾野の森林地帯一帯は、あちこちで火の手が上がっている。これまでに500人以上の消防士や、300人以上の警官隊等が消火に上がっているほか、航空機やヘリコプターからの消火活動も展開されているが、消し止められていない。同山にある旧ギリシャ王室のタトイ宮殿からは万一に備えて、装飾品等が運び出されたという。

懸命の消火作業が続く
懸命の消火作業が続く

 ギリシャ市民保護省の副大臣のNikos Hardalias氏は「非常に困難な日々が続いている。非常に気象条件が悪いので、この一日だけでも81の森林火災が新たに起きている。夜を徹して消火に当たっている。優先されるのは人命だ」と厳しい状況を訴えている。

 事態を重視したEU欧州委員会のクライシスマネジメント委員のJanez Lenarcic氏 は4日、他のEUの国々に消火隊の派遣を要請した。要請に応えて、フランス、チェコ、ソロべニア、オランダ、キプロス等の国々が、消火用の航空機やヘリコプター、さらには消防チームを、火災の影響が激しい地域を中心に派遣した。EUの「EU Civil Protection Mechanism」の発動により、隣接国を中心に、航空機や消火チーム等が組織的に展開されている。

 

 森林火災はイタリアのローマの周辺やシシリー島などでも発生。緊急消火チームの応援を受けている。さらに緊急チームは、EUに隣接するトルコにも派遣されている。トルコには消火用の飛行機が配備されていないため、EUの支援に頼る形という。トルコも地中海に面したムーラで1万人以上が避難する事態になっている。

https://www.euractiv.com/section/climate-environment/news/athens-suburbs-brace-for-night-inferno-as-blaze-burns-homes/

https://www.voanews.com/europe/10000-flee-turkey-wildfires-greece-power-grid-threatened