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国連環境会議(UNEA5.2) 廃棄プラスチック削減のため、国際枠組み「プラスチック条約(仮称)」設立で合意。政府間委員会を立ち上げ、2024年までに協定案をまとめる(RIEF)

2022-03-03 14:04:48

 

 ケニアの首都ナイロビで開いていた国連環境会議(UNEA 5.2)は2日、海洋プラスチックごみの削減を進めるため、法的拘束力のある初の国際枠組み「プラスチック条約(仮称)」を作ることで合意した。年内に協定案を策定する政府間交渉委員会(INC)を設置し、2年後の2024年に各国に提示する予定だ。国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)のプラスチック版を目指す。プラスチックの廃棄対策だけでなく、同製品の生産・デザイン等も対象にする。

 

 UNEAは、2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)において、国連環境計画(UNEP)を強化するために設立されたUNEPの意思決定機関。原則として2年に1 回開催される。今回の5.2は2月28日から開いていた。今回の会合では、協定案策定で一致したほか、プラスチックを廃棄後だけでなく、ライフサイクル全体での適正化を目指すものにすることでも合意した。

 

 会合で議長を務めたノルウェーのエスペン・バット・アイデ気候・環境相は「われわれはきょう歴史を作っている。全員が誇りを持つべきだ。プラスチック公害は爆発的に拡大している。きょうの決議により、われわれは正式に解決へと歩み出した」と述べ、プラスチック協定設立で合意できたことを評価した。

 

プラスチック協定作成合意の決定を受け、会場全体が拍手で包まれる(UNEA)
プラスチック協定作成合意の決定を受け、会場全体が拍手で包まれる(UNEA)

 

 プラスチック製品は1950年から2017年までで世界中で92億㌧が製造されている。そのうち8割近い70億㌧が廃棄物として埋め立てられたり、あるいは河川・海洋投棄等で十分に管理されずに放棄されてきた。その結果、海洋環境、エコシステムに蓄積し、悪影響を及ぼしている。今後もプラスチックの使用量は増加し、製造量も2050年までに年間11億2400万㌧に増えるとの試算もある。

 

 日本でも年間850万㌧のプラスチックが廃棄されている。そのほぼ半分はペットボトルやコップ等の使い捨て用途の容器とされる。環境NGOによると、2018年発表のUNEP報告書では、日本人一人当たりのプラスチック容器包装廃棄量は米国に次ぐ世界第2位の「廃プラ国」とされる。

 

 廃プラ問題では、2021 年7月に英国で開いたG7コーンウォールサミットで合意した2030 年「自然協約」で、①陸地・海洋全ての発生源からのプラスチックによる海洋汚染の深刻化に対処する行動の加速化②そのために、UNEAを通じて、既存の枠組みの強化や新たな世界的な条約やその他の枠組み等の選択肢に取り組むーーと明記している。

 

UNEA5.2の会場外に設置されたカナダ人芸術家による廃プラで作った作品
UNEA5.2の会場外に設置されたカナダ人芸術家による廃プラで作った作品

 

 廃プラの元になっている飲食品容器やパッケージ等を扱うグローバルな大手食品メーカーや金融機関等も、今年1月、UNEA5.2の会合に向けて、廃プラ対策をグローバルに推進する国際条約の早期制定を求める共同声明を公表している。https://rief-jp.org/ct12/121672

 

 今回のUNEAの合意について環境NGOグリーンピース米国の担当者グラハム・フォーブス氏は「プラスチック汚染の危機を終わらせたいと願う世界中の数百万の声が、ナイロビにいる国際社会のリーダーたちに届いた。化石燃料の採掘から廃棄まで、プラスチックのライフサイクルが人間や地球に有害な汚染を生み出している。大手石油企業やブランドにプラスチックのフットプリントを減らし、ビジネスモデルをリフィル&リユースへ切り替えるようプレッシャーをかけ続ける、大きな一歩だ」と歓迎のコメントを出している。

 

https://www.unep.org/news-and-stories/news/unea5-unep50-updates#update168799

https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/press-release/2022/03/03/55790/