HOME12.その他 |「ヤフオク!」、絶滅危惧種の動植物のネット取引を大幅に禁止。法規制遅れで規制対象外の生物も、生物多様性の視点で保全を優先。オオクワガタやメダカ、ニホンザリガニ等(RIEF) |

「ヤフオク!」、絶滅危惧種の動植物のネット取引を大幅に禁止。法規制遅れで規制対象外の生物も、生物多様性の視点で保全を優先。オオクワガタやメダカ、ニホンザリガニ等(RIEF)

2022-08-29 13:39:30

okuwagataキャプチャ

 

 ネットオークションサイトの「ヤフオク!」は29日、動植物に関する「ヤフオク!ガイドライン細則」の改定を発表した。海底の対象となるのは、個人が絶滅の恐れのある動植物を出品することを禁止する。新たに対象となるのはオオクワガタやメダカなど4000種以上にのぼる。これらの動植物のネット売買は法令では規制されていないが、ヤフオク!では、生物多様性保全への社会的関心が高まっていることを踏まえて、自主規制として実施する。

 

 規制の実施は9月29日から。現状の禁止出品物としては、動物では、①哺乳類、鳥類、爬虫類②特定外来生物に該当する動物の生体および植物(卵や種子も)③象牙および象牙製品全般④希少野生動植物種の個体等のうち、種の保存法で必要とされ登録等がない場合ーーとしている。

 

 今回の改定では、これらに加えて、環境省が定めるレッドリスト(海洋生物レッドリストを含む)に掲載される絶滅危惧種または準絶滅危惧種に該当する動植物種(当該動植物種の卵や種子を含む)を盛り込んだ。レッドリストの掲載種のうち、絶滅危惧ⅠA類、同ⅠB類、同Ⅱ類の各カテゴリーに分類された絶滅危惧種と、準絶滅危惧種が対象。

 

 レッドリストに掲載されている絶滅の恐れがある生物でも、法律で広く保護されているわけではない。環境省レッドリストでは、絶滅危惧種と準絶滅危惧種は計5298種を指定しているが、同リストは法的か拘束力を持たない。したがって、同リストのうち、種の保存法等で保護されているのは1000種にも満たない。法整備の遅れが原因だ。

 

 このため、これまではこれらの絶滅危惧種の動植物等も、ヤフオク等のネットオークションで取引が可能だった。これに対して、ヤフオクは自社判断で哺乳類等の出品禁止をこれまでも実施し、外来生物法により特定外来生物も禁止してきたが、絶滅の恐れのあるサンショウウオや淡水性の二枚貝などが、大量に出品される事態も相次いでいたという。そこで、同社自体の判断で、出品禁止対象を大きく広げた。

 

 その結果、新たに出品禁止対象となるのは、動物では、オオクワガタ、ニホンザリガニ、トノサマガエル、トウキョウサンショウウオ、タイマイ、アオウミガメ、植物では、マリモ、アサクサノリなどが含まれる。

 

 このほか、以下の対象が禁止事項となる。

 

 ▼特定第一種国内希少野生動植物種、国内希少野生動植物種の指定対象に卵や種子が含まれていない場合でも禁止。環境省の種の保存法で新たに国内希少野生動植物種に追加予定として情報公開された動植物種(卵や種子を含む)


 ▼トラやヒョウの毛皮・はく製、アジアアロワナなどの国際希少野生動植物は、種の保存法に基づき発行された国際希少野生動植物種登録票がなければ出品できない。


 ▼漁業法など法令で、当該登録等がなくても譲渡が認められているウミガメ科の甲なども、国際希少野生動植物種登録票がなければ出品できない。

 

 ▼外来生物法に基づいて指定された特定外来生物(動物に限らず、植物も含む)

 

 判断が難しいものでも、同社が該当する可能性があると判断した動植物種(当該動植物種の卵や種子を含む)も禁止とする。ただ、氏名や連絡先などを公開した登録業者「ヤフオクストア」への出展者の場合は、絶滅危惧種を含めて、人工的に繁殖された個体に限り出品が可能としている。

 

 同社の判断の対象には、法令等の規制対象に限らず、社会通念上相当な範囲を超えて入手または出品されて、生態系や環境に悪影響を及ぼす恐れがあると判断したものも含まれる。例えば、出品数量が非常に多い、特定の地域において希少なもの、捕獲方法が不適切なもの等としている。

 

 個人の愛好家やペット等の取引の広がりによって、動植物を一般に取引する動きは年々増えている。一方で、法的な規制はペット業界等に配慮する形で、遅れている。哺乳類、鳥類、爬虫類等の場合でも、動物愛護管理法で販売に際して対面説明が義務づけられているだけだ。

 

 メディアの報道によると、ヤフーの担当者は「生物を愛好し、自由な取引を楽しんでもらうことは大事だが、生態系に影響を与えてはならないと考え、法規制を上回る対応に踏み切ることにした。今後も多角的な議論をしながら、適切に対応して参りたい」としている。

 

 他のオークションサイトのメルカリや、楽天のフリマアプリでは、両生類などの生物のネットでの個人による出品はすでに禁止されている。

 

https://auctions.yahoo.co.jp/topic/notice/rule/post_3373/

https://digital.asahi.com/articles/ASQ8W3G3MQ8JPLBJ001.html