東京建物。大規模建築物で日本初となる「ZEH-M(ネットゼロエネルギーハウス・マンション)」認証のマンションを東京・世田谷で竣工。年間光熱費16万円削減(RIEF)
2025-02-10 17:55:52

(写真は、竣工した日本初の「ZEH-M」マンション=東京・世田谷の「Brillia深沢八丁目」)
東京建物は10日、消費エネルギーが実質ゼロの「ZEH-M (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)」が竣工したと発表した。大規模マンションでの「ZEH-M」の完成は、わが国で初めて、同マンションは、再生可能エネルギーの太陽光発電と燃料電池による「創エネ」に加え、高断熱サッシ等による省エネ効果を導入することで、光熱費を最大で年16万円削減できるとしている。マンション需要の旺盛な東京市場で「ネットゼロ」の付加価値でアピールする形だ。
国土交通省が定める「ZEH-M」の定義では、一次エネルギー消費量削減率に応じて「ZEH-M」、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Orientedの4ランクに区分されている。この中で「ZEH-M」は年間の一次エネルギー消費量の収支が「ネットゼロ」以上の最高ランクの分類になる。
同社によると、今回の物件は、東京・世田谷区の「Brillia 深沢八丁目」。東急田園都市線「桜新町」駅徒歩9分で、地上3階建て、総戸数38戸の分譲マンション。ZEH-M基準に適合する物件としては日本で初めての竣工、と説明している。
高い断熱性能による省エネと、太陽光パネルや燃料電池「エネファーム」による創エネを組み合わせることで、マンションの居住棟全体で一次エネルギー消費量削減率が100%以上の「ZEH-M」と、住戸ごとの同エネルギー消費量削減率も100%以上の「ZEH」の両方の基準を満たしすとしている。
また、同物件は省エネ・省CO2の導的技術を導入した住宅・建築物のリーディングプロジェクトを支援する国土交通省の「令和5年度サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されている。建築環境総合性能評価システム(CASBEE)による建築物環境性能評価では最高位のSランクを取得している。
使用する高断熱サッシや全熱交換器等の採用により、技術基準上の「ZEH-M」の要件である「断熱等性能等級5」よりも高い「同等級6」を全住戸で取得している。冷暖房関係の電力消費の抑制等により、一次エネルギー消費量の省エネ化が住棟全体で44%に達するほか、通常のZEH-Mシリーズの住宅よりも快適な温熱環境を実現している。
再エネではマンション屋上全面に336枚(1戸当たり7〜11枚)の太陽光パネルを設置し、その再エネ電源を安定的に活用するため、全住戸に標準設置した燃料電池「エネファーム」によって同57%の創エネを実現できる。これらの省エネ・創エネを組み合わせること住棟全体で「101%」(ネットゼロ)の一次エネルギー消費量削減率を達成できるとしている。
住戸ごとの平均では114%の一次エネルギー消費量削減率を達成しており、本物件における省エネ・創エネにより、一般的な省エネ基準の住戸と比較して年間で111,000円(月平均約9200円)の光熱費削減が見込まれるとしている。
災害時のレジリエンス性能の向上も強調している。住戸内のリビングには太陽光やエネファームから給電される停電時専用のコンセントがあり、停電時にも電力利用が可能となる。物件内の駐車場全13区画は太陽光発電・蓄電池と連携したEV充電区画で、非常時には駐車している電気自動車(EV)の貯蔵電力を共用部照明等に活用するV2H(Vehicle to Home)設備も併設している。
このほか、敷地が元幼稚園だったことを踏まえて、物件の共用部には、園児たちが遊んだ砂場の砂から作成したアート作品や、世田谷区の保存樹木だったアカマツから作成したアート作品など、「土地の記憶」をアートに昇華させたアーティスト4人によるアート作品を設置している。廃棄物削減の面でも、廃食油の回収リサイクル取り組みのほか、空間デザインによってゴミ分別や衛生環境の課題解決を目指した「通いたくなるゴミ置き場「GOMMY」」を採用しているとしている。