ロサンゼルス、大船渡、今治等と各地で広がる山林火災。韓国でも過去最大の山林火災で、死者27人。焼失面積は大船渡市の10倍以上。気温変動による異常乾燥と強風で拡大する点で共通(RIEF)
2025-03-27 22:33:37

(写真は、韓国の山林火災の様子=Guardian のVideoから引用)
年初の米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊での森林火災に続いて、日本でも岩手県大船渡市で大規模山林火災が起き、次いで岡山・愛媛などでも山火事が続いている。隣国の韓国でも、過去最大規模の火災で死者27人を出し、今も燃え続けている。各国各地で広がる森林火災や山林火災は、いずれも異常な大気の乾燥長期化と強風の影響で、火の手が広がる点で共通している。地球温暖化の進行による気候変動の激化が、森林・山林火災として顕在化している姿といえる。
2月26日に岩手県大船渡市で出火した山林火災は、大船渡市全体のおよそ9%にあたる約2900haを焼いて3月9日にようやく鎮火宣言が出された。東京山手線内(約63k㎡ )のほぼ半分と同じ面積が焼失し、建物被害は210棟にのぼった。さらに今月後半には、岡山、愛媛、宮崎などの各県の山林でも火災が発生、岡山市南区、今治市では数百haの面積を焼失した。
韓国でも、山林火災が猛威を奮っている。今月21日以降、韓国南部の慶尚南道や同北道などの各地で山火事が発生した。火災は乾燥した大気と強風にあおられて広がり、被害が拡大した。現地メディアの報道によると、中央災難(災害)安全対策本部の27日午後6時時点の発表では27人が死亡し、重軽傷者は32人、被害面積は過去最大だった2000年の東海岸の山火事(2万3794ha)を大きく上回る3万6000haに達している。死者の中には住民に加えて、消火活動に当たっていた消防団員4人も含まれる。

同国災害安全課のイ・ハンギョン(Lee Han-kyung)課長は「今回の山火事は、われわれがこれまでに経験したことのない気候危機の厳しい現実を改めて露呈した」と、異常な乾燥状態が長期にわたって続いた背景に、気候変動が顕在化していることの実感を指摘した。
実際に、韓国気象庁によると、昨年の韓国での平均気温は14.5℃で、過去30年間の平均気温12.5℃を2℃も上回り、韓国にとって記録上最も暑い年だった。ソウルにある漢陽大学の気候学教授イェ・サンウク(Yeh Sang-Wook)氏は、昨年来、冬季の雨不足によって例年以上に土地が乾燥し「山火事の発生に好都合な状況が生まれていた」と指摘。さらに「気候変動だけが原因だとは言えないが、気候変動は直接的にも間接的にも、われわれが今経験している変化に影響を与えているのは間違いない。このことは単純な事実だ」と述べている。
日本で起きている山林火災の原因について、日本の気象学者らは気候変動との関連性について、明確なコメントをあまり出していないようだ。だが、韓国や米国では、気候変動の進展が気温上昇を加速し、大気を異常に乾燥させ、さらには大気の温度差による突発的な強風を引き起こし、火災の拡大に拍車をかけているという認識で共通しているといえる。
韓国の山林火災で被害が大きい地域では、今冬は平均降水量の半分しか降っていないという。その結果、それらの地域での火災は、昨年の2倍以上に発生している。ハン・ダクソ大統領代行は「前例のない急速な森林火災の拡大により、多数の死傷者が出るという深刻な事態に全国が直面している」と政府の対応会議で述べ、危機感を示した。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/nation/kyodo_nor-2025032701000143
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/fnn/world/fnn-849375
https://www.theguardian.com/world/2025/mar/27/south-korea-fires-death-toll-rises-worst-in-history