EU理事会議長国と欧州議会代表。森林破壊防止規制(EUDR)の今年末の実施を1年遅らせる改正案で暫定的な政治的合意。デューデリプロセスの簡素化措置も導入(RIEF)
2025-12-06 03:11:25
EUの加盟国で構成するEU理事会議長国のデンマークと欧州議会の代表者は4日、EUが進める森林破壊防止規制(EUDR)改正案について、暫定的な政治的合意に達したと発表した。内容は、今年末に実施予定としている同法の適用を、来年末へ1年の再延期とするほか、デューデリジェンスプロセスの対象を絞るなどの簡素化措置を導入する。すでに理事会では合意されている。欧州議会も欧州委員会が提出した見直し法案を了承しており、早ければ来週にも本会議で採決する見通し。
改正法案はEUDRの規則の実施を1年先送りするとともに、既存規則の手続きを簡素化することによって、事業者、取引業者、当局が同法を適切に準備できるようにする。改正法案は、欧州委員会が当初提案していた大企業・中堅企業向けの「猶予期間」を削除し、代わりに全ての事業者に対して適用期限の明確な延長(2026年12月30日まで)を与える。そのうえで零細・小規模事業者には追加で6カ月の猶予期間を設ける。https://rief-jp.org/ct12/162686?ctid=71
もう一つの、手続きの簡素化措置は、加盟国や利害関係者から、企業や行政機関の準備状況、ならびに新たな情報システムに関連する技術的問題について懸念が示されたことを受けて、両機関は欧州委員会が提出したデューデリジェンスプロセスの対象を絞った簡素化案を支持した。
さらに、同法に基づき、必要なデューデリジェンス声明を提出する義務と責任は、製品を最初に市場に流通させる事業者のみに帰属することが明確にした。具体的には、サプライチェーンにおける最初の下流事業者のみが、最初のデューデリジェンス声明の参照番号を収集・保持する責任を負い、それを下流へ転嫁しないことで合意した。
零細・小規模一次事業者向けの簡素化された申告書についても明確化された。これらの事業者は一度限りの簡素化された申告書を提出するだけで、申告識別番号を受け取ることができる。トレーサビリティ目的のためには、これで十分であるとして合意した。
両機関は、EUDR実施に関する専門家・利害関係者・関連事業者全体との継続的対話確保の重要性を強調した。これは欧州委員会の「世界の森林保護・回復に関する専門家グループ・マルチステークホルダープラットフォーム」の既存枠組み内で実施されることになる。また、システムの円滑な運用を確保するため管轄当局に重大なITシステム障害の報告を義務付けることでも合意したが、同時に、行政負担を最小化する柔軟性措置を付加した。
行政負担をさらに軽減するため、両機関は特定の印刷物(書籍、新聞、印刷写真など)を規制対象から除外することでも合意した。これは、これらの物品に関連する森林破壊リスクが限定的であることを反映したものとしている。
欧州委員会は、両機関から、簡素化レビューの実施と2026年4月30日までの報告書提出を命じられている。報告書では、特に小規模事業者に対するEUDRの影響と行政負担を評価し、ガイドラインの策定や情報システムの改善など、特定された課題への対応策を示す必要がある。適切な場合には、立法提案を報告書に添付することになる。
EUDR規則は、EU市場に流通または輸出される牛、カカオ、コーヒー、アブラヤシ、ゴム、大豆、木材およびそれらの派生製品が、生産過程で、森林破壊や森林劣化を引き起こしていないことを確保する目的で、2023年6月に発効した。
主要規定は当初、2024年12月30日から適用される予定としていた。ところが、加盟国、第三国、貿易業者、事業者から準備状況に関する懸念が表明されたことを受け、2024年12月に1年間の延期が決定された。その結果、現行のEUDRは2025年12月30日から適用されるとしていた。
2025年10月に欧州委員会が提案した今回の改正案は、継続的な実施上の課題、特にEU情報システムの有効な機能確保と小規模事業者への行政負担軽減の必要性に対応するものである。
(藤井良広)

































Research Institute for Environmental Finance