2025年の世界平均気温は14.97℃。観測史上3番目の高気温の年に。産業革命前からの気温上昇「1.5℃」突破は10年以内に到達。パリ協定時の想定より10年早く。EU気候機関が公表(RIEF)
2026-01-15 01:50:20
EUのコペルニクス気候変動サービス(C3C)によると、昨年(2025年)の世界全体の平均気温は14.97°Cで、産業革命前(1850~1900年)から約1.47℃の上昇となった。観測史上もっとも暖かい年だった2024年よりは0.13℃低く、2023年よりわずかに0.01℃低い過去3番目に平均気温の高い年だった。その結果、過去3年間(2023~2025年)の地球平均気温は産業革命前比で1.5℃超の上昇となった。3年間の平均気温が1.5℃の限界値を超えたのは今回が初めて。トランプ政権の米国はパリ協定からの離脱に加えて、国連気候変動枠組み条約(FCCC)からの離脱も宣言しているが、地球の気温は確実に上昇し続けている。米国の「気候政策の誤り」が、気温上昇によって裏付けられようとしている。
C3Sとコペルニクス大気監視サービス(CAMS)を運営する欧州中期予報センター(ECMWF)が発表した。観測データについては、地球規模の気候監視に携わる他の国際的機関ーーECMWF、NASA、NOAA、英国気象庁、バークレー・アース、世界気象機関(WMO)ーーが共同で調整した。

陸域の気温は10.08℃で、観測史上2番目の高さを記録した一方、南北の両極域では高い年間気温を記録した。中緯度地域に比べ、両極域ほど、気温上昇のピッチが早いことを裏付けている。
2025年の地球全体の平均気温は産業革命前比で1.47°C上昇し、観測史上最も高温だった2024年の1.60°C上昇に続く二番目の年となった。複数の手法を用いた推定では、現在の長期的な地球温暖化のレベルは産業革命前比で約1.4°C上昇ということになる。この温暖化ペースに基づくと、パリ協定が定める長期的な地球温暖化の上限値である1.5°Cは、10年以内に到達する可能性があるとした。これは同協定締結時の温暖化ペースに基づく予測より10年以上早いことになる。温暖化の加速が確認された格好だ。
2023年から2025年までの連続する過去3年間の気温上昇が今回初めて「1.5℃」の限界値を超えた理由として、C3Sは第一に、世界各国での経済活動からの継続的な温室効果ガス(GHG)排出と、自然開発による森林等の自然吸収源によるCO2吸収量の減少により、大気中のGHGが蓄積したことをあげている。
第二には、東太平洋赤道付近でのエルニーニョ現象やその他の海洋変動要因に関連して、気候変動によって増幅された海面水温が世界的に異常に高い水準に達したことがあげられる。その他の要因としては、エアロゾルや低層雲の量の変化、大気循環の変動などが要因に数えられるとしている。

2025年も、その前の2023年および2024年と同様に、地球の広範囲な地域で、平均を大幅に上回る高温が観測された。熱帯域の気温と海面水温は2023年、2024年より低かったものの、熱帯域外の多くの地域では依然として平均を大幅に上回った。熱帯域の気温が2023、2024年より低かったのは、2025年を通じて赤道太平洋で平年並み(「ENSOニュートラル」)または弱いラニーニャ状態が持続したことが一因とされる。
過去2年間の気温上昇自体、強いエルニーニョ現象の影響を一部受けていた。エルニーニョは、長期的な人為的地球温暖化の影響に重なる形で、地球全体の気温上昇をもたらす傾向がある。一方で、ラニーニャは逆の効果をもたらす傾向で知られる。弱いラニーニャの影響で、熱帯大西洋およびインド洋の2025年の気温は、2024年ほど極端ではなかった。
2025年に観測された熱帯地域の低温は、極域の高温によって一部相殺された。年間平均気温は南極で観測史上最高値を記録し、北極では史上2番目の高さを示した。北西太平洋・南西太平洋、北東大西洋、極東・北西ヨーロッパ、中央アジアなど他の複数の地域でも年間最高気温が観測された。
2025年には、世界の陸地の半分以上で、体感温度32℃以上の強い熱ストレスが平均を上回る日数を記録した。熱ストレスはWHOにより、気象関連死の主要因と認識されている。乾燥し風が強い地域では、高温が異常な山火事の拡大と激化にも寄与した。これらは炭素、粒子状物質などの有害大気汚染物質、そして人体に影響を与えるオゾンを発生させた。
CAMSデータによれば、こうした高温によって山火事が拡大・激化するとともに、有害大気汚染物質が拡散される現象は、年間総山火事排出量が過去最高を記録した欧州の一部地域や北米でも見られた。山火事の拡大に伴う汚染物質の拡散は空気質を著しく悪化させ、地域レベルおよび広域レベルの両方で、人体に有害な影響を及ぼした可能性があるとしている。
また2025年の異常な気象状況によって、記録的な熱波、欧州・アジア・北米での激しい暴風雨、スペイン・カナダ・南カリフォルニアでの山火事など、多くの地域で顕著な極端現象が相次いだ。C3Sの報告書では個々の現象の分析や原因究明は行っていないが、2025年に高まった気候リスクへの社会的関心を裏付けるタイムリーな背景情報を提供している。
ECMWF総局長 フロリアン・パッペンベルガー(Florian Pappenberger)氏は「2025年の報告は、欧州および世界が観測史上もっとも温暖な10年間にあること、そして欧州委員会によるコペルニクス計画への投資が引き続き極めて重要であることを裏付けている。ECMWFは気候変動への適応に向けた情報に基づいた意思決定、そして最終的には行動を促すための世界最高水準の科学を提供している。なぜなら、毎年、そして1℃ごとの気温上昇の評価が重要だからだ。準備と予防は依然として可能だが、それは確固たる科学的証拠に基づいて行動が導かれる場合にのみ実現する」としている。
C3S所長のカルロ・ブオンテンポ(Carlo Buontempo)氏は 「世界はパリ協定で定められた長期的な温度限界に急速に近づいている。われわれはその限界を超過せざるを得ない。今、われわれに与えられた選択は、避けられない超過とその社会・自然システムへの影響をいかに最善に管理するかだ」と述べている。
(藤井良広)
https://climate.copernicus.eu/gch-2025-press-resources

































Research Institute for Environmental Finance