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中国のコメ輸入、カドミウム汚染で急増か (WSJ) 国際穀物市場の波乱要因に

2013-05-23 23:13:43

収穫されたタイ産のコメ(4月)
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収穫されたタイ産のコメ(4月) .
収穫されたタイ産のコメ(4月)
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中国広東省広州市の周辺で流通するコメを対象にした調査でサンプルの半数近くが重金属のカドミウムに汚染していることが最近判明したが、この影響で思わぬ商機がめぐってきたのが近隣国のコメ輸出業者だ。

 

 さらなる調査によって汚染問題が長引けば、世界2位および3位のコメ輸出大国、ベトナムとタイの中国向けコメ輸出が拡大すると市場関係者は見込んでいる。一方、世界最大のコメ輸出国のインドについては、中国が同国からの輸入を制限しているため、輸出が急激に伸びることはないだろう。

中国米のカドミウム汚染がどのくらい深刻であるかは今のところ不明だが、先週末発表された調査結果では、18サンプルのうち半数近くから安全基準値を超えるカドミウムが検出された。カドミウムは様々な産業用途に使われている一方で、人体に有害であることが知られている。

 

 汚染米は主に近隣の湖南省から出荷されたものだ。同省は中国最大のコメ生産地であり、昨年は中国米の13%が同省産だった。

 

 米テキサス州に本拠を置くコメのコンサルタント会社、ファースト・グレインのミロ・ハミルトン社長は22日、「次の収穫期となる10月にも汚染米が見つかれば、中国のコメ輸入が急増するだろう」と指摘した。

 

 ある市場関係者によると、 広東省のコメ卸業者は既に湖南省からの出荷米の販売を中止しており、中国の他の産地のほか、ベトナムやパキスタンからもコメを仕入れているという。

 

 一方、有力な政府系のシンクタンク、中国国家穀物油糧種子情報センターの上級アナリストは21日、カドミウム汚染が需要に及ぼす影響はまだはっきりしていない」と話した。

 

 ローマに本部を置く国連食糧農業機関(FAO)のコンセプシオン・カルペ氏は、「汚染や伝染病が広がった場合、食料品の中でも比較的ぜいたく品に属する肉類は消費が落ちるが、コメのように主食となる穀物は通常、輸入増加につながる」ため、今回の汚染問題によってベトナムとタイには中国向けにコメを販売する機会が生じると指摘する。

 

 実は、中国ではカドミウム汚染が表面化する前からコメの輸入が拡大している。

 

 先月、国際穀物理事会(IFC)は2013年における中国のコメ輸入量予想について、特にベトナムとパキスタンといった近隣諸国からの穀物が低価格であることを理由に、16%引き上げて220万トンとした。

 

 広州市では国内産の長粒精白米はトン当たり600ドル(約61680円)以上で売られているが、類似した等級のベトナム米の値段は、出荷費用を除いた場合で400ドル以下だ。

 

 税関によると、中国の輸入米に占める国別の比率は今年これまでのところ、ベトナム米が60%で、パキスタン米が29%となっている。

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324474704578499683311363720.html?mod=djem_Japandaily_t