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東電福島原発事故支援の米兵の被ばく訴訟、東電が争う姿勢 連邦地裁に書面提出 「トモダチを欺く東電」(各紙)

2013-06-22 21:45:32

東日本大震災後「トモダチ作戦」のため三陸沖に停泊中、甲板を洗い流す空母「ロナルド・レーガン」の乗組員(2011年3月)
東日本大震災後「トモダチ作戦」のため三陸沖に停泊中、甲板を洗い流す空母「ロナルド・レーガン」の乗組員(2011年3月)
東日本大震災後「トモダチ作戦」のため三陸沖に停泊中、甲板を洗い流す空母「ロナルド・レーガン」の乗組員(2011年3月)


各紙の報道によると、東日本大震災の被災地支援で三陸沖に派遣された米原子力空母「ロナルド・レーガン」の乗組員らが、東京電力福島第1原発事故で被ばくして健康被害を受けたとして東電に損害賠償を求めた訴訟で、東電は21日、カリフォルニア州サンディエゴの連邦地裁に訴えを退けるよう求める書面を提出した。東電は訴訟で全面的に争う姿勢だ。

 提出書面によると、東電は原発事故をめぐる東電の行為と健康被害について、原告側は因果関係を説明していないと主張している。また裁判で争うなら、事故の現場がある日本で行うべきだ、とも指摘しているという。これに対して原告側は、東電が事故で放出された放射性物質の危険などについて正しい情報を伝えなかった、などと主張している。

 

米国での訴訟は、2012年12月21日、ロナルド・レーガンの乗組員8人が原告となって、レーガンが母港とするサンディエゴ海軍基地のある同市連邦裁判所に提訴された。その後原告数は増加し現在26名に増えている。さらに、100名以上が訴訟に加わる準備を進めており、賠償請求額の総額は20億ドル(約2,000億円)に達する見込みという。

乗組員たちは、東日本大震災直後、米海軍の被災地支援プロジェクト「トモダチ作戦」で三陸沖に停泊し、飛行甲板での除染作業などに当たっていた。その後、甲状腺の異常や持続性片頭痛、腸からの出血などの症状が見られるという。当時、女性乗組員のおなかの中にいた乳児(昨年10月、誕生)も損害賠償の対象になっている。訴訟額は当初提訴分だけで1億1000万ドル(約99億円)の損害賠償を求める内容となっている。

請求額の内訳は、原告一人当たり1000万ドルの損害賠償金に加え、東電が放射能に関する正しい情報を与えず、被ばくし、健康を害したとして、二度と同じようなことが起こらないよう抑止することを目的とする「懲罰的損害賠償」が3000万ドル。また、別途、原告をはじめ、日本の被災者などに治療を施す非営利医療組織の設立基金、1億ドルも求めている。

原告代理人でサンディエゴ在住のカリフォルニア州弁護士、ポール・C・ガーナー氏 によると、現在、調査を進めている最中だが、何らかの症状が出ている乗組員は、すでに40人を超えている。骨や骨格組織の衰弱などが見られる人もいる。単なる偶然にしては、人数が多すぎるだろう。医者は、因果関係があるという認識を日ごとに深めている。これは、独断や根拠なき主張ではない、としている。