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「公害」イメージの四日市で ウミガメ保護条例化の動き(伊勢新聞)

2014-01-13 14:33:18

【「3年ぶりにアカウミガメの産卵を確認した四日市ウミガメ保存会のメンバーら=昨年7月、四日市市楠町の鈴鹿川派川河口で」】
【「3年ぶりにアカウミガメの産卵を確認した四日市ウミガメ保存会のメンバーら=昨年7月、四日市市楠町の鈴鹿川派川河口で」】
【「3年ぶりにアカウミガメの産卵を確認した四日市ウミガメ保存会のメンバーら=昨年7月、四日市市楠町の鈴鹿川派川河口で」】


日本有数のコンビナートを抱える四日市市で、ウミガメ保護条例の制定に向けた動きが出ている。来月の市議会定例会に条例案が議員提案される予定で、産卵期の今年六月までの制定を目標としている。「公害」という負のイメージを払拭(ふっしょく)し、環境先進市としての魅力を発信することが狙いだ。(北勢総局・廣瀬秀平)

 

条例は、官民が一体となってウミガメの保護を図ることを目的とし、具体的な内容は現在検討が進められている。条例が制定されれば、県内では紀宝町に続いて二例目。工業都市単独では全国初となる。

 
同市では、楠町の鈴鹿川派川河口で平成十五、二十二、二十五年にウミガメの産卵が確認されている。近くの海岸では、保護団体「四日市ウミガメ保存会」(森一知会長)が中心となって二十一年から清掃活動を続けており、条例は市民の悲願だった。

 

森会長は「本当にきれいな海があることを発信しないと、いつまでも『四日市は公害の街』と誤解されてしまう」とした上で、「ウミガメが産卵に来ていることを隠して保護する方法もあるが、四日市ではウミガメが来ていることを広く知ってもらいたい。多くの人にPRするためには条例は必要」と歓迎している。

■  ■

NPO法人「日本ウミガメ協議会」(大阪府枚方市)によると、同様の条例はほかに、都道府県では鹿児島県と高知県、市町村では徳島県美波町、静岡県南伊豆町、福岡県福津市で制定されている。

 

紀宝町は昭和六十三年七月、全国の市町村で初めて同様の条例を施行した。条例制定から二十五年がたつが、「今でも条例を制定した意味は大きい」と町の担当者は強調する。

 

町の条例は、ウミガメを町民の財産として将来に継承することを目指し、ウミガメを捕獲する場合の許可制度を設けているほか、保護監視員を設置できるようにしている。

 

町の担当者は「条例がない時は、町民の倫理観だけで保護活動が成り立っていたが、今は条例に基づいて明確に意思表示ができるようになった」と説明した。

 

さらに「条例は町民の意識向上にも大きな役割を果たしている。広報や教育を通じて、環境や命の大切さに関する子どもの理解も深まっている」と述べた。

 

一方、同町と同じ時期に条例を制定した鹿児島県では、当時問題になっていた卵の捕獲を防ぐため、違反者に対して懲役一年以下または罰金五十万円の罰則を盛り込み、一定の成果を挙げている。

 

四日市の場合は、罰則は設けず、「決意表明」の意味合いが強くなる見込みだが、同協議会の石原孝主任研究員は「ウミガメを守っていこうという取り組みとしては素晴らしい」と評価し、「条例を制定したから終わりではなく、ウミガメをキーワードに自然を守っていくことが大事」と話している。

http://www.isenp.co.jp/news/20140112/news05.htm