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「日本一美しい村」に悩ましい課題 長野・大鹿村、リニア工事で防犯カメラ検討(信濃毎日)

2015-01-05 12:26:40

防犯カメラの設置が検討されている大鹿村交流センター(左)
防犯カメラの設置が検討されている大鹿村交流センター(左)
防犯カメラの設置が検討されている大鹿村交流センター(左)


今年秋にもリニア中央新幹線のトンネル掘削が始まる長野県下伊那郡大鹿村が、村内への防犯カメラ設置を検討していることが4日、分かった。工事関係者を含めて人の出入りが増えると予想されるためで、村議などから設置を求める意見が出ている。一方、「日本で最も美しい村」をアピールし、これまで村外から山村の暮らしに引かれる新住民を迎えてきた村なのに、排他的な印象を与えかねないと悩む声もあり、論議を呼びそうだ。ohshikaIP141230MAC000058000

大鹿村によると、人口約1100人の同村には、国土交通省の河川監視用などを除くと防犯用や監視用のカメラはない。村内で設置を求める声が出たのは3年ほど前で、複数の自動販売機が荒らされた事件がきっかけ。村議会で設置を求める声が出て、村は検討を始めるとした。

村は、農業用重機の盗難が相次いで防犯カメラを道路脇などに設置した南佐久郡南牧村を視察。その結果、「しっかりした設備には多額の費用がかかる」(大鹿村総務課)として、いったん設置に消極的になっていた。

今回、大鹿村が設置の検討を本格化したのはリニア計画が背景にある。村内には作業用トンネルの坑口が4カ所と変電施設が設けられる。JR東海の環境影響評価書によると、トンネル掘削で出る残土(約300万立方メートル)、村内を通る工事用車両(1日最大1736台)はともに、リニア沿線の県内自治体では最多の見通しだ。

村が巨大な工事の現場になるとの懸念が高まり、昨年11月下旬の村行政評価委員会や、同12月の村議会定例会一般質問で防犯カメラの設置を求める意見が相次いだ。一般質問への答弁などで、島崎英三総務課長は効果的に撮影できる設置場所と費用をクリアできることを条件に、2015年度の村予算に設置費を計上する方向で検討する姿勢を示している。

 

http://www.shinmai.co.jp/news/20150105/KT141227FTI090018000.php