HOME |5年前のメキシコ湾原油大量流出事故 最終決着。BPの支払額208億㌦(2兆5000億円)で過去最高額。今後18年間で支払い。実質負担額は540億㌦強に。事故の重荷大きく(RIEF) |

5年前のメキシコ湾原油大量流出事故 最終決着。BPの支払額208億㌦(2兆5000億円)で過去最高額。今後18年間で支払い。実質負担額は540億㌦強に。事故の重荷大きく(RIEF)

2015-10-06 16:29:34

BPキャプチャ

各紙の報道によると、英石油大手BPは、2010年4月にメキシコ湾で引き起きた大規模原油流出事故の和解賠償金として総額208億㌦(約2兆5000億円)米政府とメキシコ湾岸の5州に支払うことで合意、確定した。

 

 BPの賠償金は今年7月の時点で、187億㌦とされていた。その後、環境調査などの費用を積み増しして、増額確定した。事故から5年に及ぶ訴訟問題は最終的に解決した。ロレッタ・リンチ米司法長官が5日発表、「米史上最大の環境災害を適切かつ効果的に解決した」と評価した。1企業が支払う和解金としては米史上で過去最高額となった。

 BPはこれらの和解金を今後18年かけて支払うことになる。すでにBPは事故処理で被害地域の清掃関連費用140億㌦以上を投じたほか、訴訟関連費用で131億㌦を負担してきた。これらを合わせるとBPの支出は540億㌦以上の規模になる。このためBPの財務基盤は大きなダメージを受け、原油生産量は事故前に比べて半分以下にまで落ち込んている。

 

 賠償金のうち55億㌦は清浄水質法(Clean Water Act)に基づく罰金、50億㌦は被害を受けた5州に払われる。すでにBPはこれまで被害を受けた人々や企業に対して58億4000万㌦を支払っている。

 

 リンチ長官は、CWAによる罰金の85%は、漏出油によって今も、影響を受けている沿岸湿地帯や生態系の回復に充当するという。生態系等の回復のために、ガルフ湾岸回復事業のファンドを設け、そこにも資金供給するという。その一方で長官は、「今回の決定は、ガルフ湾岸地域での今後の経済開発を否定するものではない」と、事故処理と安全な開発の推進とを峻別した。

 

 事故から5年を経て、原油流出事故が起きた周辺地域の観光事業や漁業はほぼ回復した。しかし、原油によって影響を被った生態系や周辺環境の被害回復にはまだ数年かかるとみられている。