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ハウス栽培に排ガス制御技術応用 排出CO2を有効活用 フタバ産業(愛知県)が農業分野参入(中日新聞)

2015-12-29 16:04:13

futabaキャプチャ

トヨタ自動車系部品メーカーのフタバ産業(愛知県岡崎市)は、自動車用マフラー製造で磨いた排ガス制御技術を応用し、農業分野に参入する。

 

ハウス栽培の夜間暖房で生じる二酸化炭素(CO2)を回収し、昼間に放出して作物の光合成を活発にすることで、環境に優しく収穫量を増やせる技術を開発した。来冬のモニター販売を目指す。

 

 開発した技術は、農業ハウス内の気温が下がる夜間の暖房用に灯油を燃やして発生するCO2を回収して、吸着材の入ったボンベに貯蔵。張り巡らせた配管から昼間に放出し、光合成を促す仕組み。

 

 これまで作物が光合成をしない夜間に生じるCO2は大気に捨てており、昼間には新たに燃料を燃やしてCO2を供給していた。貯蔵したCO2は昼間に燃やして発生させるよりも温度が低く、葉を傷めない。配管を通じて葉の近くに集中的に放つようにしたことで、光合成の働きを高めて作物の成長を促す。燃料費の削減に加え、冬季は標準的なハウス一棟で一日約三十キロのCO2削減につながる。

 

 フタバ産業は農業を自動車に続く成長分野と位置付け、二〇一四年度から国の委託を受け、愛知県のほか東北や西日本で実証実験を重ねてきた。イチゴは通常のハウス栽培と比べて粒が大きく、実の数も増えて収穫量が四割増加。シクラメンも葉に多くの栄養を蓄えられるようになり、観賞日数が三割伸びた。

 

 研究開発拠点がある幸田工場(愛知県幸田町)の近くで実証実験に協力するイチゴ農家、藤江大輔さん(38)は「理にかなった仕組み」と期待し、来年一月以降に本格運用する予定。

 

 環境・省エネ機器開発部の伊藤謙二部長(51)は「環太平洋連携協定(TPP)で攻めの農業が叫ばれる中、大きな力となる収量の増加に貢献したい」と話す。より低炭素の栽培を目指し、バイオマス燃料向けのハウスも開発している。

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015122802000066.html