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世界の海洋プラスチック廃棄物の約9割は、中国・長江などの10の主要河川から海に運ばれている。河川流域での廃棄物監理の重要性がカギ。ドイツの研究チームが解明(各紙)

2018-07-13 12:45:24

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 ドイツのヘルムホルツ環境研究センター(UFZ)の研究チームによると、世界中で問題になっているプラスチック廃棄物による海洋汚染問題で、世界の10の主要河川からのプラスチック廃棄物の海洋流出が、汚染原因の約9割を占めることがわかった。主要河川は中国の長江、黄河、インドのインダス川など新興国・途上国の河川で占められる。汚染源の元を断つ対策が求められる。

 

 廃プラスチック対策は世界中での取り組みが始まっている。欧米を中心に、使い捨てプラスチックストローの規制が広がりつつあるほか、商店などでのショッピングでのプラスチック袋の有料化などの対策がとられている。しかし現在も、世界全体で1年間に47万~275万㌧規模のプラスチック廃棄物が新たに海洋に流れ込んでいるという。

 

 ドイツ・ライプチッヒにあるUFZのクリスチャン・シュミット博士やトビアス・クラウス博士らのチームは、世界の河川からの流入状況をモデル化して推計した。それによると、5mm以下のマイクロプラスチックと、それよりも大きいマクロプラスチックの流入経路(デブリ・ロード)でもっとも大きかったのは中国の長江で、二番目がインドのインダス川、次いで中国の黄河、海河、ナイル川(エジプト)、メグナ川(バングラデシュ)などの順。

 

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 10位のメコン河(東南アジア)までの10河川で、年間に河川から海洋に流れ込む廃棄プラスチックの88~95%を占めるという。これらの河川は、流域に人口が多く、廃棄物対策をしっかりやれば、抑制できる可能性がある。

 

 研究プロジェクトを主導した水理地質学者のシュミット博士は「これら主要な河川流域からのプラスチック廃棄物の排出量を半減させるだけでも、海洋汚染の軽減に大きな効果をもたらす」と指摘している。「そのためには、廃棄物の分別回収やリサイクルなど、廃棄物マネジメントの改善を図るとともに、流域の一般市民に向けたプラスチック対策の啓発活動を積極的に行うことが不可欠だ」と述べている。

 

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https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.est.7b02368