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環境省、国内の廃プラスチック滞留問題で、廃棄物処理場での保管量上限を倍に引き上げへ。抜本対策には手を付けず、課題先送り(RIEF)

2019-06-27 22:07:50

plastic222キャプチャ

 

 各紙の報道によると、環境省は、国内で廃プラスチック処理が行き詰まり状況に陥っていることから、廃棄物処理業者が一時的に保管できる廃プラの量の上限を、現行の2倍に引き上げる方針を固めた。中国が昨年初めに廃プラ輸入禁止に踏み切った影響で海外処理ができないためだが、といってプラスチック使用の禁止措置まではとらず、廃プラの元を絶つ政策はとらず。日本の役所特有の一時しのぎ策といえる。

 

 報道によると、各地の廃棄物処理業者などは、廃プラの処理が追い付かず、処理場では未処理のままの廃プラの保管量が増えているという。同省はこのままでは不法投棄を助長するリスクもあることから、保管量の上限を引き上げるとしている。

 

 今回の措置は今月27日から一ヶ月間、一般から意見を公募した上で、省令改正で8月下旬から実施するとしているが、「実施ありき」の措置のようだ。報道によると、現在保管可能なプラごみの量は、業者が一日に処理できる量の14日分までと定めている。今回、この上限を、自治体からの認定を受けた業者に限り、倍の28日分に引き上げる。

 

 環境省によると、廃プラの国内排出量は年間約900万㌧。そのうち100万㌧以上をこれまで中国などの海外に輸出してきた。しかし、中国が昨年初めから輸入を禁止したため、日本の業者は他のアジア諸国に輸出先を転じたり、国内で未処理のまま滞留させたりしている。

 

 今年5月末には、マレーシア政府が日本など7カ国から資源ごみとして輸入した廃プラスチックなど450㌧が、腐敗の進行や有害物質の含有等で、リサイクル不能品だったとして、当該国への送り返しを公表する騒ぎも起きている。https://rief-jp.org/ct9/90303

 

 同省の調査(今年2月末時点)によると、12.3%の自治体が管内で保管量の上限を超えた処理業者を抱えているという。このため、同省は処理の推進に向けて5月に、各自治体に産業廃棄物として回収し、リサイクルするはずの廃プラを、焼却資源に転用するよう要請した。

 

 廃プラを回収・再生する循環型政策から一転、焼却処分に転じ、その焼却作業への転換が進まないので、処理場への野積みを膨らませる――。まさに場当たり行政の典型と言わざるを得ない。

 

 欧州や太平洋の島嶼部諸国では、廃プラ対策を根本的に解決するため、プラスチック製品の使用自体を極力禁じる動きが広がっている。利便性にかまけて使い放題にプラスチックをまき散らし、最終処理を人任せ、海外任せにしておきながら、拡大生産者責任(EPR)だとか、ライフサイクルマネジメント(LCM)、サーキュラーエコノミー(CE)など、聞こえのいい言葉を繰り返してきた環境行政の罪は重い。

http://www.env.go.jp/

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201906/CK2019062702000293.html