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熱波の襲来で欧州各地で、最高気温。フランスでは45.9℃。「さわやかな6月」が「酷暑の6月に」。スペインの山火事はさらに拡大。温暖化の影響顕在化、さらに明確に(RIEF)

2019-06-29 19:25:42

france1キャプチャ

   熱波に見舞われている欧州各地で、異常高温が相次いでいる。フランスでは28日午後、南部ガラルグルモンテュで28日、同国本土の観測史上最高となる45.9℃を記録した。これまでの記録を一気に2℃近くも上回った。また、フランスのほかスペイン、ドイツ、イタリアでは熱中症等で死者が出ている。スペインでは熱波による山火事が広がっている。

 (写真は、フランス東部の町の高齢者施設では、暑さを凌ぐため、アイスクリームが配布された)

 フランスの気象庁(Météo-France)によると、ガラルグルモンテュで記録した最高温度45.9℃は、これまでの最高気温だった2003氏44.1℃を1.8℃も上回った。同地だけでなくプロバンス地方のカルパントラで44.3℃、ヴィルヴィエイユで45.1℃と各地で最高気温を上回った。

 Météo-Franceの気候学者であるEtienne Kapikia氏は「フランスでは観測史上、45℃を上回ったことはこれまでに,ない。歴史的な高温だ」と指摘している。

 

 フランスの約4000の小中学校は、校長先生が「学校内で安全な状態を保証できない」と警告し、休校になったという。また多くの自治体も、予定していた学期末のカーニバルを取りやめた。介護施設では高齢者向けに水分補給設備をフル稼働させた。

 

 隣国のドイツでは、6月全体の平均気温が過去の同月平均温度を4℃以上も上回り、さらに過去最高の同月平均気温を記録した2003年よりも0.4℃上回る記録更新の月となった。1881年の気温観測以来、初めての「暑い6月」だったという。

 

 スペインでも、6月の過去最高気温を上回る43℃を記録。同国の気象庁は、カタロニア地方のほか、ナバラ、バスクの各地に、警戒警報を発した。カタロニア地方では、山火事が鎮圧せず、29日までに6500haが消失した。

 

燃え広がるスペインでの山火事
燃え広がるスペインでの山火事

 

 地元の350人の消防士が消火に当たっているほか、陸軍の緊急出動ユニット221人も駆けつけ、ヘリや重機を動員して火の拡大を抑えようとしている。だが、現時点では、鎮火の見通しはなく、消失面積が2万haにまで拡大する可能性が出ている。

 

 各地で熱中症や、水の事故による死者も相次いでいる。イアリアでは16の都市で警戒警報が発令された。ローマ近郊の市当局は観光客向けに,水を配布するサービスを実施した。ドイツのベルリンでは警察が普段は暴動対策に使う放水器で、街路樹をクールダウンさせる散水活動を展開した。

 

 世界気象機関(WMO)は、2019年は世界最高気温の年になる可能性があるとしている。また2015年から19年までの5年間は、過去の5年単位の平均気温でも「もっとも暑い5年」になるとみられている。

 

 WMOは今回の欧州の気温上昇が気候変動の直接の影響と断言することについては慎重だが、温室効果ガスの上昇の影響とリンクした異常現象である点は間違いない、とみている。「熱波はもっと激しくなり、もっと乾燥をもたらし、もっと異常になるだろう。しかも、例年より早く発生し、遅くまで影響するようになる」(WMOスポークスパーソンのClare Nullis氏)と警告している。

 

https://www.theguardian.com/world/2019/jun/27/hundreds-of-firefighters-tackle-blaze-in-north-east-spain