抜本的な気候変動対策を求める「登校拒否」を続けるスウェーデンのグレタさん。9月の国連気候サミットに出席の可能性。スウェーデンから海路でニューヨーク入りか（?）（RIEF）
2019-07-01 09:15:30
気候変動対策を求める子供たちの登校拒否（School Strike）運動の提唱者のスウェーデンの16歳のグレタ・ツゥーンベリさんが、9月にニューヨークで開く国連気候サミットに出席する可能性が出てきた。グレタさんは、CO2排出量の多い飛行機での移動を拒否しており、訪米する場合は、大西洋を船で渡ることになる。
（写真は、英紙上で、「オンライン対談」したグレタさん㊨とオカシオ・コルテスさん㊧：合成写真）
グレタさんの気候サミットへの参加の可能性は、英紙Guardian が週末に掲載した特集記事で明らかになった。同記事は、米民主党大統領候補者に立候補しているアレクサンドリア・オカシオ・コルテスさんと、グレタさんのオンライン対談のやり取りの中で明かされた。
29歳のコルテスさんはニューヨーク州第14区選出で米議会史上、もっとも若い女性下院議員。さらに、目下、民主党の大統領候補にも立候補している若者世代の代表の一人。米国だけでなく世界全体を変革するためのGreen New Dealを選挙公約に掲げて、若者の未来と地球の未来の解決実践を提案している。
2人の「対談」は、コルテスさんがニューヨークの事務所から、グレタさんはスウェーデンの自宅から、ネットを通じたビデオリンクで行われた。二人は初対面。https://www.theguardian.com/environment/2019/jun/29/alexandria-ocasio-cortez-met-greta-thunberg-hope-contagious-climate
グレタさんとコルテスさんは、若い世代が政治や政策に声をあげる思いについて、幅広く議論をした。対談の後半でグレタさんが「8月に訪米する計画がある」ことを明かし、もし訪米したら9月23日にニューヨークで開く国連気候サミットに出席することができる、と語った。
8月、9月は学校が夏休みなので、スクールストライキも中断となる。ただし、グレタさんは「私は飛行機は気候変動（を悪化させる）の理由で乗らない。なので、100％訪米できるかはまだわからない。ただ、何とかしたい。難しいが可能性はある」とコルテスさんに伝えた。
これまでグレタさんは、スイス・ダボスでの世界経済フォーラム、バチカンでのローマ法王との会見、ブリュッセルのEU本部、フランス、英国の議会訪問など、欧州各地を訪れてきた。行く先々で、「なぜ、大人たちは、真剣に温暖化対策に取り組まないのか」「なぜ、子どもたちは温暖化対策を真剣に求めるか」などを訴えてきた。
しかし、いずれも母国のスウェーデンのストックホルムから列車に乗り込んで、陸路、移動して行動だった。航空機がまき散らすCO2量の多さと、規制の緩さを批判しての行動である。グレタさんの両親も「グレタさんに説得された」形で、航空機利用を止めている。
母親のマレーナ・エルンマンさんは国際的なオペラ歌手として知られ、来日公演をしたこともある。だが、現在は、航空機を利用しないため、海外公演を限定しているというほどだ。
飛行機を利用しないでスウェーデンから米国に行くとすれば、海路しかない。米欧間の大西洋を航海するクルーズ船は片道7泊8日で到着する。往復と米国での滞在日程等を含めると、20日前後の長旅となる。
グレタさんの訪米計画を聞いたコルテスさんは、「素晴らしい。できることは何でも手伝わせて。私たちが取り組んでいることは、グローバル課題であり、スウェーデンだけできることでも、米国だけでできることでもない。われわれすべてが一つの運動として取り組むべきこと。その力はまさに現実のものだと思う。あなたの計画がうまくいくことを望んでいる。訪米できるようなら、あなたに会いたがっている多くの米議員を紹介するわ」と歓迎した。
来年2020年はパリ協定から5年目となり、各国は協定で公約した国別削減貢献（NDC）の見直しを求められる。9月の国連気候サミットは、その各国の決意が実質的に問われる会議と位置付けられている。
グレタさんが世界の100万人を超す「スクールストライキ」賛同の子ども・若者たちの声を、大人たちのサミットに届けることができるか。
Research Institute for Environmental Finance