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環境省、絶滅危惧種のニホンウナギ保護を担当しながら、土用の丑の日を前に「うな重予約」をツイッターでアピール。画像は無断使用。「絶滅危惧官庁(?)」(各紙)

2019-07-24 07:51:08

unagi2キャプチャ

 

 絶滅危惧種のニホンウナギを保護する担当官庁であるはずの環境省が、土用の日に向けて、うな重の予約をツイッターでアピールし、炎上。原田義昭環境相が記者会見で釈明する事態になった。日本の官庁の政策能力の劣化が指摘される中で、同省自体が、ほぼ「絶滅危惧」状態との声も聞こえてくる。

 

 各紙の報道によると、原田環境相は「(環境省は)いろんな機会に(食品ロスを)なくそうと訴える立場にあります。別にウナギを積極的に食べようということではなかったようであります」と、事務方の“つぶやき”の言葉足らずを記者会見で謝罪した。

 

 問題のツィートは、今月27日の土用の丑の日を前に、「土用のウナギはご予約を」と、22日夜に、同省の公式ツイッターで流れた。しかも、うな重の画像アップ付き。メッセージは「食品ロスにならないように大事にいただきましょう。食べる方はできるだけ予約して、季節の行事を楽しみましょう!」。

 

 だが、ニホンウナギは、同省がレッドリスト2019で「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い」として絶滅危惧1B類に指定している。自然保護行政を担当する役所ならば、土用の丑の日を機に、ウナギ食のあり方を国民に問い直す、ぐらいの政策的配慮があってもよさそうでもある。

 

unagi1キャプチャ

 

 しかし、この日の同省のツイッター担当者は、環境省が自然保護政策でウナギ保護を推進しているのを知らなかったのか、自然保護行政への配慮はゼロ。ツィートへのネット批判を受けてから、初めて気づいたようだ。

 

 しかも、ツィートしたうな重の画像は、飲食店情報サイトの画像を無断で使用していたことも判明。環境省はサイト運営会社などに謝罪したと報じられた。ツィートは、批判コメントを受けて、投稿から数時間後に削除されたが、理由説明などがなかったことから、再び批判が殺到した。

 

 こうしたツィート活動が、同省の「本業」の一つとして日々、税金を投じて、行われていると思うと、がっくりする人が多いのではないだろうか。

 

 環境省は温暖化対策でも、国民への啓蒙活動を盛んに展開したがる。そうした活動のために、温暖化対策費として毎年、多額の補助金を同省の関係団体などにバラまいている。しかし、排出削減がもっとも効果をあげるのは、CO2の大量排出元の産業、企業への適正な排出制限の導入であるのは明らかだ。だが排出規制の強化は、「経済界の反対が強い」との説明で、一向に進んでいない。

 

 この点では、経済産業省と環境省が「役割分担」する形で、規制の導入を遅らせ、「国民運動」にすり替えてきたとの見方もできる。本来、やるべきことをタナ上げし、国民全体に責任分担を求めることで、自分たちは必要な政策を行っているとの錯覚に、陥っている可能性もある。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190723/k10012004841000.html

https://digital.asahi.com/articles/ASM7R35VVM7RULBJ003.html