HOME |グテレス国連事務総長、9月の国連気候サミットに向け、各国トップに向けて、「2050年カーボンニュートラル」実現の計画立案を求める親書送付(RIEF) |

グテレス国連事務総長、9月の国連気候サミットに向け、各国トップに向けて、「2050年カーボンニュートラル」実現の計画立案を求める親書送付(RIEF)

2019-07-23 21:19:48

UNキャプチャ

 

  国連のアントニオ・グテレス氏事務総長は、国連加盟各国のトップに宛て、2050年までに各国がカーボンニュートラルを達成する計画を立てるよう要請する親書を送った。国連は9月にニューヨークで開く気候サミットへの招聘に合わせて要請をした。世界中で脱炭素のはずみをつける狙いのようだ。日本で親書を受け取った安倍首相はどう返信するのか。

 

 事務総長の親書は、2050年カーボンニュートラル達成に向けた計画の設定等を求め、サミットでその計画を公表することを求める内容とされる。返信は8月7日までに出すよう求めている。

 

 国連は気候サミットに向けた事前の準備会合を、先月、アブダビで開催した。グテレス事務総長は「すべての国のリーダーに、9月のサミットに参加し、2050年目標を宣言してもらいたい。さらに来年には2030年の温室効果ガス削減目標の強化も明確にしてもらいたい」と述べている。

 

 事務総長は、来るサミットでは各国が競って削減目標の引き上げと削減戦略を宣言する期待を示している。ただ、これまでのところ、複数の先進国と、最貧途上国等が、カーボンニュートラルを掲げているが、中国やアジア等、新興国の多くは十分な検討が進んでいないとされる。

 

 事務総長が各国に求める2050年計画は、単に目標値を高く掲げるだけではない。パリ協定の目標を達成できる温室効果ガス削減を実現する長期戦略を、できるだけ具体的に明示するよう求めている。この「長期戦略」には、国ごとの多様な「野心」を盛り込める弾力的なフレームワークとして設定することへの期待も示している。

 

 事務総長は「2050年カーボンニュートラル」を先導する役割を、EUに期待している。英仏やフィンランド、スウェーデンなどの各加盟国のほか、次期欧州委員長となるウルズラ・フォンデアライエン氏も、2030年の現在のEUの削減目標(40%:90年比)を50~55%に引き上げることを宣言しているためだ。EUの主導に他の国々がどう連動するかだ。

 

 アブダビでの準備会合では、各国の削減目標の強化に加えて、各国とCO2排出削減量の産業セクター、ビジネス、NGOなどの連合が、グローバルベースでの気候変動行動をスケールアップする活動も注目された。グテレス事務総長は、これらの民間ベースの動きを、各国の2050年目標に組み込むことも各国リーダーに要請した。また目標を行動に展開するため、特別のファイナンス・コミットメントを行う必要性にも触れている。

 

 親書は、「われわれは一人も取り残さない」との事務総長の決意で締めくくっている。

 

https://www.un.org/sg/en