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エベレスト周辺で、ペットボトル等の使い捨てプラスチック使用禁止へ。来年1月から実施。温暖化進行で氷河の融解も進み、過去の登山者の廃棄ゴミも大量出現(RIEF)

2019-08-21 21:43:19

Everlestキャプチャ

 

  世界最高峰のエベレストなどのヒマラヤの高山を有するネパールのクーンブパサンガラム(Khumbu Pasag Lhamu)地方自治体の運営協議会は、エベレスト周辺地域で、登山者やハイカーなどが廃棄するプラスチックごみ対策を強化するため、来年1月から同地での使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する。

 

 プラスチック禁止令は、厚さ30ミクロン以下のすべてのプラスチック製品や飲料用プラスチック製ボトルなどが対象になる。

 

 同地区では、1999年にも同様の禁止措置が打ち出された。だが当時は、政府自体が観光政策重視で実施に力を入れず、地域の住民たちも、真剣に協力しなかったため、立ち消えになったという。

 

エベレスト周辺から回収されたごみの山
エベレスト周辺から回収されたごみの山

 

 しかし、同自治体の行政長のGanesh Ghimire氏は「住民は今や真剣に気候変動の危機や、地域の過剰汚染問題に取り組んでいる。今回の禁止措置は効果をあげるだろう」と述べている。

 

 20年前に汚染に気付いていながら、「環境」よりも「観光」を選択した結果、地域一帯には登山者やハイカーを含む年間5万人の観光客が訪れる。エベレストの登頂も、今夏は史上最多の885人が成功した。うち11人が悪天候や技術の未熟さ等で死亡した。

 

 その一方で、今年、政府が実施した地域での清掃プロジェクトでは10㌧上のゴミが回収されるなど、登山者、観光客増による負の部分も大きく膨らんだ。ゴミは現在の入山者によるものだけではなく、過去に廃棄された登山者のゴミも、氷河の溶融とともに、増大している。

 

登山者の数も多い。山頂まで数珠繋ぎで登る
登山者の数も多い。山頂まで数珠繋ぎで登る

 

 ネパール政府も、登山者等の入山制限を打ち出している。政府委員会は先に、エベレストへの登山許可を、ネパール国内にある標高6500m以上の登山経験者に限定する方針を提案した。また現在1万1000㌦(約120万円)のエベレストの入山料を3万5000㌦(約370万円)に、また標高8000m以上の他の山も2万㌦(約210万円)に、引き上げを提案している。

 

 6年前に、ネパール政府は、登山チームに対して4000㌦の供託金を課し、下山時に登山者一人当たり8kgのゴミを回収してきたら、供託金を返却する制度を設けた。しかし、決められたごみを回収した登山者は半分だけだった。それほど、登山とゴミ回収の両立は困難ということのようだ。

 

 「だったら、ゴミの元になるプラスチックは持ち込ませない」というのが、今回の地元自治体の判断だ。そのプラスチック禁止令が効果を上げるには、罰金額をいくらにするかも大事なポイントだ。