温暖化の影響で強大化する台風。アフリカを襲ったサイクロンも各地で河川の決壊・氾濫で洪水被害。ソマリアでは数十万人が被災。温暖化対策を十分にとらない国の弱者に被害が集中(RIEF)
2019-11-01 15:39:46
温暖化の影響で威力が増大し続ける台風の被害で、東日本各地では河川が氾濫、洪水や浸水被害が広がったが、インド洋で発生した強大なサイクロンの影響で、東アフリカのソマリア中部では大規模な洪水のために1つの町がほぼ水没、住民20万人以上が避難生活を強いられている。温暖化対策を十分にとらない、あるいはとれない国では、被害が弱者に集中していることで共通する。
インド洋からアラビア海等を襲ったサイクロン「Kyarr 」は、過去12年間でもっとも強力なサイクロンとされる。ハリケーンの強度を示すカテゴリーでは最悪の5に次ぐ「4」に分類。住宅の屋根を吹き飛ばす「破壊的ダメージ」を与えるとされている。
国際NGOの「セーブ・ザ・チルドレン」によると、「Kyarr 」襲来の影響で東ソマリアの中部にあるベレトウェイン(Beledweyne:人口約40万人)は、降り続く豪雨と洪水による浸水被害に見舞われた。少なくとも人口の半数に相当する20万人が家を失い、そのうち半数の10万人は子どもたちだ。
同市を流れる川は連日の大雨によって、10月26日に堤防が決壊し、周辺の住居を押し流すなどの被害を広げた。これまでに、子ども2人を含む3人が死亡した。さらに20人を乗せた船が豪雨の中で転覆、多数が行方不明になっているとされる。
ベレトウェインの周辺のバラデール(Bardale)でも、豪雨による洪水が街中を襲い、少なくとも3万人が被害を受けている。また河川の氾濫で農地や道路などのインフラが水没、破壊されたという。同市の中央病院は洪水の影響で機能不全に陥っており、子どもの命を奪いかねないコレラやマラリアの感染症の発生に対する対応ができない懸念が出ている。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は10月28日の時点で、ベレトウェインの85%以上が浸水被害に見舞われたと推定した。ソマリア政府は緊急対策委員会を設置して、人道支援活動の調整に当たっている。「セーブ・ザ・チルドレン」は「緊急に支援を増やさなければ、手に負えない状況になりかねない」と危機感を強めている。
豪雨による被害はケニアと南スーダンでも発生。ケニア当局によれば、この数週間で洪水のために少なくとも29人が死亡、推定1万2000人が避難している。
太平洋の台風や、米大陸のハリケーン等に比べて、アラビア海を襲うサイクロンは年に1~2個で、こうした強力なサイクロンは極めて珍しいという。インド洋で発生、東から西に移動し、現在は南に向かっているという。
https://edition.cnn.com/2019/10/29/asia/tropical-cyclone-kyarr-scli-intl/index.html