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中国、プラスチック廃棄物削減のため、全国的な使い捨てプラスチック製品の使用禁止措置実施へ。年末までに大都市で、22年には全国の市町に拡大。外食産業での使用規制も強化(各紙)

2020-01-21 23:18:31

Chinapra2キャプチャ

 

  中国が全国的なプラスチック製品の使用禁止措置に乗り出す。国家発展改革委員会(NDRC)によると、今年末に北京や上海などの大都市のスーパー等での使い捨てのプラスチックレジ袋の使用を禁止するほか、2022年までには、同措置をすべての市や町に拡大する。電子商取引や持ち帰り用食品でも使い捨てプラスチックの使用を大幅に削減する。またプラスチック廃棄物の輸入を完全に禁止する。

 

 プラスチック製品の広範囲な使用禁止措置は、NDRCと生態環境省が19日、共同政策として公表した。地域的な使用禁止措置のほか、外食産業での使い捨てプラスチックストローの使用も年末までに禁止する。

 

 さらに25年までに中国全土の市町の外食産業は、使い捨てプラスチック容器の使用量を現状より30%削減することを求められる。高級ホテルなどが提供するプラスチック製の使い捨て歯ブラシの提供も22年末までに自粛を求める。

 

 ただ、レジ袋使用禁止の例外として、生鮮食料品市場については、25年まで使用を認める。また、同年までにプラスチック製品の生産、流通、消費、リサイクル、廃棄のシステムを確立する、としている。

 

日本経済新聞から
日本経済新聞から

 

 プラスチック製品の使用だけでなく製造と販売面でも規制を強化する。たとえば、厚み0.025mm以下の超薄型のプラ袋の製造は禁止されるほか、農業のビニール栽培等に使われるプラスチックシートも、0.01mm以下のものは禁止になる。いずれも、長年、廃プラスチック増大の元凶になってきたもので、回収・リサイクルも容易ではないためだ。

 

  中国は廃プラの世界最大の排出国として知られる。英オックスフォード大の研究者などでつくる「アワ・ワールド・イン・データ」が18年9月に公表した報告書では、廃プラの排出量は年約6000万㌧。2位の米国の1.6倍、3位ドイツの4.1倍に達する。

 

 これらの膨大な廃プラは、国内を流れる多数の河川を経由して海洋に流れ出していく。廃プラ排出量の多い世界の河川10本のうち、9本までが中国の河川で占められているとの統計結果もある。

 

  中国で廃プラが多いのは、人口が最多であることがもっとも大きい。加えて、オンラインショッピングやフードデリバリーが地方の農村部でも日常生活の一部として定着していることも要因だ。外食産業へのオンライン注文で、使い捨てプラスチック袋や容器の利用が普及している。

 

 これまでも中国はプラスチック削減対策をとってきた。2008年には小売店を対象に無料のプラスチック袋を禁止するとともに、超薄型のプラスチック袋の製造も禁止した。しかし、そうした措置での削減量を大幅に上回る使用増が続くことから、今回の抜本的な使用禁止措置を講じることになったとみられる。

 

 中国は2017年末に、廃プラの輸入禁止措置を実施。中国への廃プラ輸出に頼っていた日本を含む先進国諸国で、ゴミ滞留問題を引き起こした。今回の措置では、この輸入規制をさらに強化し、すべての廃プラを輸入禁止にする。またプラスチック製品使用に際して、医療用廃プラを再使用することも禁止する。

 

 中国の今回の措置は、同国が世界最大の廃プラ輩出国であるという汚名を返上しようとするものといえる。政策の柱に「使用禁止」を盛り込んでいる点で、日本が導入しようとする「レジ袋有料化」等の措置よりも、効果があがるとの期待がある。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200119/k10012251151000.html

https://www.bbc.com/japanese/51173486