HOME13 原発 |米電力大手エクセロン、稼働中の2原発合計4基を来年中に早期閉鎖へ。10~20年の運転期間残し。再エネ等に比べて発電の経済性低下が理由。追加でさらに2原発も閉鎖の可能性(RIEF) |

米電力大手エクセロン、稼働中の2原発合計4基を来年中に早期閉鎖へ。10~20年の運転期間残し。再エネ等に比べて発電の経済性低下が理由。追加でさらに2原発も閉鎖の可能性(RIEF)

2020-08-28 21:36:17

Exelon002キャプチャ

 

 米電力・ガスの持ち株会社であるエクセロン(Exelon)は、 イリノイ州にあるバイロン原発(2基)とドレスデン原発(同)を来年9月に閉鎖すると発表した。バイロン原発は運転期間を20年残し、ドレスデン原発も同10年残している。だが、電力価格の下落等で原発発電の経済性が低下しているほか、再エネ等の電力を優先する制度の普及等を理由としている。両原発の閉鎖は、原発の経済性が再エネ等よりも低下し、将来の回復見込みが立たないことを示しており、日本の原発稼働の先行きにも影響しそうだ。

 

 (写真は、早期閉鎖される米イリノイ州のドレスデン原発)

 

 閉鎖されるバイロン原発は1985年9月稼働の1号機(発電量1164MWと87年8月の2号機(1136MW)。いずれもウエスティングハウスの加圧水型軽水炉。両機は2012年1月に外部電源が失われる事故が発生。2号機が緊急停止する事態が起きている。炉の圧力を下げるために低レベル放射性物質のトリチウムを含む蒸気を大気中に放出したが、エクセロンは周辺住民等の健康には影響しないレベルと説明した。しかし原子力規制委員会(NRC)は同原発の運転期間を20年延長している。

 

 ドレスデン原発は、1960年に稼働した1号機は1978年に運転終了。現在は、1970年から、ゼネラル・エレクトリック BWR-3 沸騰水型原子炉の2号機(950MW)3号機(935MW)が稼働している。同原発も、2004年にNRCが運転期間を40年から60年への延長を認めており、2030年まで稼働は可能。

 

稼働中の原発の様子
稼働中のバイロン原発の様子

 

 同社は近く、地域の広域送電機関であるPJM等の規制機関や地域自治体等に対して、両原発の閉鎖の了承を得るしている。同社は、両原発を閉鎖しても北イリノイを中心とする地域の電力供給に影響は生じないと説明している。地域での調整を終えた後に、原子力規制委員会に閉鎖通知を提出するとしている。

 

 同社は、両原発とも、もっとも効率的に稼働しており、全米の原発の中でも信頼度の高い運転成果だと指摘。しかし、再エネ発電や天然ガス火力の普及によって、電力価格自体が低下を続けていることの影響と、同州の政策で再エネ電力を化石燃料発電よりも優遇して購入する制度を導入していること等で、低コストの再エネ発電の拡大が続き、原発発電の経済的優位性が失われていると説明している。

 

 同社はこうした環境が今後も続くと判断、同州に保有する他のラセールとブレイドウッドの両原発についても、早期閉鎖のリスクがあると明らかにしている。エクセロンのCEO、Christopher Crane氏は「まだ稼働できる原発を閉鎖するのは大変残念だ。だが、これらを閉鎖することで他の原発の稼働を維持できる。ただ、両原発で働いていた従業員らはエネルギー政策の貧困さの理由で、職を失うことになる」と指摘している。

 

 Crane氏は来年の閉鎖までの期間に、州当局等との間で、閉鎖を先延ばしできないか政策的な配慮を求める交渉を継続するとも述べている。同氏はバイロンとドレスデンの発電電力はカーボンフリーであり、同州のカーボンフリー発電の30%を占めているとし、クリーンエネルギー発電100%を掲げる同州のジェイ・プリツカー知事と交渉を続けるとしている。

 

 同州の「クリーンエネルギー100%」計画は、現時点では2025年で85%の達成可能性が示されている。しかし、エクセロンが抱えるバイロンとドレスデンに加えて、ラセール、ブレイドウッドの4原発をすべて早期閉鎖すると、州全体の目標達成は20%に急減すると試算。温暖化対策手段としての原発稼働継続をアピールしていく方針という。

 

https://www.exeloncorp.com/newsroom/exelon-generation-to-retire-illinois%E2%80%99-byron-and-dresden-nuclear-plants-in-2021